片づけを、行為行動レベルで考察すると【秩序構成をするための行為】と、定義付けることができます。
宇宙は、一点のビックバン(意識拡散)から始まり、今もなお膨張して広がり続けているのが、宇宙空間です。そしてこの宇宙空間は「死の空間」と呼ばれていて、生命を保つことができない空間とされています。
そんな宇宙空間の中にある地球に、なぜ生命が誕生し、生物が生きながらえているのか?その理由は、地球が循環系の惑星として「秩序構成の働き」が、自然に行われているからです。
秩序構成とは、一点から外側へ拡散する働きを、内側に戻す(すぼめていく)働きのことを言います。何もせずに放っておけば、外へ外へと崩壊していく秩序を、内側へ、内側へと戻していくことで、生命は秩序を保ったまま、この地球上に存在できています。
人が死ぬということは、この秩序構成の働きが、すべての細胞レベルで機能しなくなるということを意味します。そしてこの秩序構成の働きを、最小単位で表現した空間が「部屋」だと言われているのです。
部屋の片づけをすると気持ちが晴れたり、実際に鬱が改善されるようなケースがある理由も、僕はこの秩序構成の原理原則からくるものだと考えています。
こうした秩序構成の原理原則を、仕事という分野に置き換えてビジネス構築したのが、「片づけ仕事術」と、名付けている、今の僕の働き方となっています。
改めて、秩序構成の原理原則を見ていくと、外へ外へと広がっていくことを、無秩序化と表現します。
これを放っておくと、滅びのサイクルへと突入する。この概念をビジネスに置き換えるなら、事業を大きく広げようとすればするほど、また、ビジネス拡大だけを意識することは、内部秩序がどんどん乱れていくことに直結して、結果的にはビジネスが崩壊することに繋がるのではないかと仮定してみたのです。
そこで、僕はビジネスを広げるという発想を手放し、「自分が大切にしたい信念や価値観を守り抜く」という、一点のみに活動エネルギーを集約させることを考えました。
僕が外部講演依頼を一切受け付けていない理由が、ここにあります。
外からパッとやってくる依頼は、そのほとんどが「自分が大切にしたい信念や価値観がその行為を行う上での出発点にはなっていない」のです。ストレートに言うなら、主催者の営利が優先されるものがほとんどであるということ。
こういった外部依頼を起点にした仕事ばかりをしていても、僕の人生にとっては、発展的なライフスタイルにはならない。そう判断して、ここ3年間くらいは、ずっと今のスタイルで仕事を続けてきました。
その具体的な結果を見ても、片づけの概念と秩序構成の原理原則に通じる成果が、明らかに出ているのが現状です。
ちなみにこれは、たった一人で年収1000万円を稼ぐことが目的ではなく、片づけの概念を応用していくと、一人でそれぐらいは最低稼げるくらいに自分の価値を高められますよということです。
今回お話した、片づけの概念の基礎の基礎である「秩序構成の原理原則」だけを深く落とし込んでいくだけで、あらゆるビジネスシーンにおいて、発展的な結果をもたらすことが可能です。
利益を出そうと思うがあまりに、沢山のことに手を広げるよりも、「効果的な1点にエネルギーを集約させる」という発想で、今やっている仕事を整理して、行動を見直していくことこそが、本質的な「働き方改革」にも、つながっていくかもしれません。
このことに心当たりがある方は、「どうすればもっと利益が上がるのか?」と、自分に問うのではなく、
「何に集約すれば、最も効果的な成果が生まれるのか?」
という問いこそを、日々自分に問い続けていくことをお勧めします。
【伊藤勇司】
日本メンタルヘルス協会カウンセラー。引越業に従事していた頃、「部屋と心の相関性」に着目し、1000軒以上の現場をもとに独自の「空間心理」理論を確立。片づけの悩みを心理的な側面から解決する「空間心理カウンセラー」として2008年に独立。セミナー、講演、セッションを、これまで約10,000名に実施。クライアントは主婦から企業経営者、作家などまで幅広い。著書に、最新刊『
座敷わらしに好かれる部屋、貧乏神が取りつく部屋』(WAVE出版)10万部を突破中の『
部屋は自分の心を映す鏡でした。』(日本文芸社)。
空間心理カウンセラー・伊藤勇司公式ブログ
https://ameblo.jp/heya-kokoro/