「自然エネルギーで農家の所得増」か「公共事業」か。新潟県知事選で両候補の「所得アップ」策が激突

池田氏応援の吉原氏「ソーラー・シェアリング」vs花角氏「公共事業推進」

吉原氏2

新潟駅前で開かれた集会で吉原氏は、自然エネルギーへの転換、具体的には農地で太陽光発電パネルを設置する「ソーラーシェアリング」で農家所得を増やすことを提言。池田千賀子候補に実現を託した

 吉原氏は6月7日、先の応援演説の核心部分を「新潟大発展の経済政策」と題して次のようにまとめ、池田候補らに提言を行った。 「原発を再稼働しても経済は発展しない。東京電力が儲かるだけだ。私は『エネルギー革命』で新潟を大発展させる。柏崎刈羽原発を止めて、その送電線を使って自然エネルギーを東京に売れば年間1兆円以上のお金が新潟県民に入ってくる。エネルギーの設備投資10兆円で県内所得は20兆円以上増える。農家の所得は10倍になり、若い人が帰ってきて人口が増えて新しい産業が起こる。その切り札が、コメどころ新潟の広大な水田を生かした『ソーラー・シェアリング』。田んぼの上にパネルを貼り、お米と電気を同時に作れる新しい技術。農水省がいま全力で普及に努めているのだ」  一方の花角氏は「県民の所得アップ実現!! こんな新潟県を創ります!!」と銘打ったカラーのチラシを配布。経済対策の中心として、公共事業推進をまず並べた「日本海沿岸東北自動車道開通」 「磐越道4車線化促進」 「松本・糸魚川連絡道路整備促進」 「上越・魚沼地域振興快速道路整備促進」 「公共インフラ整備と老朽化対策」  そして「佐渡金銀山世界遺産登録」を挟んで、4つの交通インフラ政策が続いた。 「羽越新幹線整備促進」 「長岡上越間の新幹線の整備促進」 「上越新幹線の新型車両導入とスピードアップ」 「新幹線の新潟空港乗り入れ」  まさに自民党の得意技である「公共事業拡大政策」を所得アップの原動力にしようとしている。そして建設業界に対しては、花角氏の票が増えるほど公共事業予算が増えることを示唆しながら勤務時間中の期日前投票を呼びかける土建選挙を展開していたのだ(参照:「新潟県知事選で花角英世候補支援の自民党議員が、相次いで“利益供与”“脅し”発言!?」照)。  県民所得アップの手段でも対照的な花角氏陣営と池田氏陣営が激突している。小泉元首相、盟友の吉原氏が応援する池田候補に対して、進次郎氏は“親子対決”を避けて花角氏の応援には来ないのだろうか。小泉進次郎氏が最終日に入るのか否かを含めて、最後の最後まで新潟県知事選から目が離せない。なお投開票結果は6月10日深夜に判明する見通しだ。 <取材・文・撮影/横田一> ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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