今すぐできる。聞き手の期待や理解が高まる、「上手な視線の外し方」

 主語の後の読点で、アイコンコンタクトを下にはずして間をつくると、「述語の内容は何だろう」ということを、聞き手に考えてもらいやすくなります。  例えば、「私の職務は(間)、トレーナーです。」というように、主語の後の読点で間をつくったとしましょう。その間のあいだに、「職務は何だろう?」というように、次の話を期待してもらいやすくなるのです。  例えば、「私の使命は(間)、ビジネスパーソンのスキル向上です。(間)」というように、主語の後の読点と、述語の後の句点の両方で間をつくったとしましょう。主語の後の間のあいだに、「使命は何だろう?」というように、次の話を期待してもらいやすくなり、「ビジネスパーソンのスキル向上が使命なのだ」というように理解を深めてもらいやすくなるのです。  つまり、読点や句点で、アイコンタクトを2、3秒で下にはずすということを実施してみると、間をつくりやすくなり、その間のあいだに、聞き手に期待をもたせたり、理解を深めさせたりする効果が高まりやすくなるのです。

読点や句点の数だけ期待や理解が深まる

 そのような簡単な動作で効果があるのだろうかと思う人もいるかもしれません。ひとつのセンテンスで、必ずしも、聞き手が一気に期待を高めたり、一気に理解を深めたりするというわけではありません。  しかし、例えば、わずか10分のプレゼンテーションの間でも、たいへん多くのセンテンスを繰り出し、何度も読点や句点を用いることになります。そのたびに、聞き手の期待を高めたり、理解を促したりしているプレゼンテーションと、そうではないプレゼンテーションでは、聞き手を引き付ける効果が断然高まることになるのです。  アイコンタクトを2、3秒で下にはずして、間をつくる効果を大きくするためには、自分が思う以上に、しっかりと、ゆっくりと、アイコンタクトを下にはずすことです。そうすることで、聞き手の期待を高めたり、理解を深めたりする時間をより長く提供できることになるのです。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第86回】 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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チームを動かすファシリテーションのドリル

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