デパ地下で「せんべろ」も――全面リニューアルした「阪神梅田本店」を徹底解剖

バル型フードコートは人気のスタイル

 阪神梅田本店の周辺は西日本一のオフィス街であり、近接する曽根崎エリアは大阪でも有数の歓楽街として知られる。しかし、以前のスナックパークは「マクドナルド」が出店するなど、どちらかといえばファミリー向けのイメージが強かった。  そこで、阪神が新たに取り組んだのが「スナックパーク」と「バル」(Bar)の融合だ。  今回の「新装復活」を前に2016年9月に開催されたスナックパーク期間限定復活イベント「I Love“スナックパーク”」では、これまでスナックパークの特徴であった「立ち食い」要素に加え、スペインバルを意識した「立ち飲み」「ちょい飲み」要素を付加、スナパーの人気メニューと合わせてアルコールも提供されるようになり、梅田エリアで働くビジネスマンにも話題となった。

2016年に期間限定で復活した「スナックパーク」はバル要素を取り入れた実験的店舗となった。2016年9月撮影

 新装「スナックパーク」でもこの期間限定店舗と同様にちょい飲み需要に応えたものとなっており、平日は午後3時以降、土・日・祝日は終日、アルコールが楽しめる。  酒類の価格も「庶民派」で、各店とも生ビールが380円で提供されているほか、話題の焼きスパゲッティ&ワイン専門店「ローマ軒」では、ローストビーフ(380円)をオーダーした客にはワイン30分飲み放題が540円で提供されるなど、「せんべろ」需要を大いに満たしてくれるメニューも登場している。

新たに「せんべろ需要」に対応した店舗も。庶民派・阪神百貨店ならではだ

 実は、いま梅田エリアではこうした「バル型フードコート」の開業が相次いでおり、3月28日には阪急三番街に「ウメダフードホール」が、4月1日にはJR駅ビルのルクアに「ルクアフードホール」が開業。また、同じくルクア内にある「バルチカ」も昨年12月に増床新装したばかりだ。

JR大阪駅ルクアの飲食街「バルチカ」

「スナックパーク」は、これらの新たな「バル型フードコート」に比べて規模では劣るものの、最もオフィス街に近く、また価格帯も安い店舗が多い。  もちろん「いか焼きとローストビーフとワイン、そして食品売場でデパ地下スイーツも」といった各店の「いいとこどり」が出来るのも「阪神百貨店ならでは」の魅力であり、周辺で働くビジネスマンやOLにとって非常に嬉しい店舗となろう。

大阪・梅田のオフィス街

 実は、今回のリニューアルオープンで阪神が目指したのが、こうした働き盛り世代、とくに「地元・梅田で働く30代から40代のOL」(なかでも阪急阪神百貨店が「西梅田OL」と呼ぶ働く女性層)を新規に取り込み、日常的に来店してもらうことだという。  果たして、上層階にはOL世代を取り込むためにどういった仕掛けがなされたのか――それはまた、次回の記事で明らかにしていきたい。 <取材・撮影/淡川雄太 文/淡川雄太 若杉優貴(都市商業研究所)> 都市商業研究所 若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken
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