迫る新潟県知事選。「原発再稼働」の争点を必死にズラす自民党側花角陣営と、経済問題も語り始めた池田候補
2018.06.08
この柏崎刈羽原発のPR館は、茶番の連続です。例えば、「1平方センチあたり88キロの圧力に耐えることができる主蒸気管」なるものが展示されていて、「こんなに頑丈な管が使われているので安全ですよ」と言いたいのだと思いますが、滅多に来ない観光客がたびたび管を触るので、管の上部が手の摩擦でハゲているのです。レプリカだからなのかもしれませんが、人が触ったぐらいで軽々と劣化してしまう管を見せつけられて「安心ですよ感」を出されても、「そりゃ各地の原発で配管の劣化が問題されるよな!」としか思えません。
もっと茶番なのは、ここがあくまで柏崎刈羽原発のPR館だということを踏まえて見ていただきたいのですが、電気の配線がガムテープで止められていることです。どこぞの小汚い居酒屋なんかでこういう光景を見ないこともありませんが、「原発は安全です!」と言いたい施設の配線がガムテープなのです。PR施設ですら「あるまじきこと」が起こっているのに、原発がちゃんと管理されているというのを信じていいのでしょうか。
いまだに日立、東芝、三菱重工が「原子力ルネッサンス」という幻を見て、東芝はほぼ倒産、日立もイギリスの原発で大赤字のリスクが囁かれ、三菱重工は国の政策に従い過ぎて経営難が囁かれるなど、原子力産業に携わってきた日本企業がほぼ壊滅状態。それでもなお斜陽産業である原子力にすがらなければならない日本というのは、この先、ちゃんとやっていけるのでしょうか。今となっては原子力産業そのものをガムテープでつなぎ止めているような状態なのに、美味しいお米が取れる新潟を担保に入れてまで柏崎刈羽原発を動かすべきものなのかどうか。改めて考えたいものです。
2007年の新潟県中越地震の時には、深刻な事故が起こっていたにもかかわらず、事故を隠蔽していた東京電力。何も反省も検証もされないまま、2011年に福島第一原発事故は起こり、相変わらずメルトダウンしていたことを半年以上も隠し続け、またしても何の反省も検証もされないまま、2018年の新潟県知事選では「柏崎刈羽原発の再稼働」を目指しているのです。柏崎刈羽原発のPR館を見ても、福島第一原発事故のことはなかったような展示が続いている現実。新潟の有権者の方々はどのような審判を下すのか。6月10日の新潟県知事選から目が離せません。
<取材・文・写真/選挙ウォッチャーちだい(Twitter ID:@chidaisan>
ちだい●選挙ウォッチャーとして日本中の選挙を追いかけ、取材活動を行う。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどをTwitterやnote「チダイズム」を中心に公開中。立候補する方、当選させたい議員がいる方は、すべてのレポートが必見。
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