生徒の顔を舐めた変態教師が3か月で職場復帰する「韓国の私立学校」の現状に生徒らが#MeTooで立ち上がる

変態教師を裁くことができない身内主義の構造

 しかしさらなる問題は、韓国の現行法では、彼らを裁けないというところにある。  教育部当局がいくらこのような性犯罪を摘発し、解任・停職などを要求しても、実際に措置をとるのは学校側。したがって、懲戒の程度を大幅に引き下げたり、むしろ「注意」に止めたり、何の懲戒をも下さないことも可能というわけだ。韓国の現行の私学法に従うと、このように罪を犯した教師でも学校からの許可によって、簡単に教壇に戻れることもある。  被害が減らない本質はここだろう。  現に、2016年に全羅北道淳昌(スンチャン)郡のある私立高校で起きたセクハラ事件。  お酒に酔った教師が女子生徒を相談室に呼び出し、抱きしめて顔をなめるなど、強制わいせつ事件が摘発された。当時全羅北道教育庁は、該当教師の罷免を要求。  しかし、学校側がこの要求を拒否し、実際は停職3か月の処分が下された。当時は3か月後には、このセクハラ教師が再度教師として働き出すことが大きな議論を呼んだが、現行法を見直すきっかけにはならなかった。  全国17の市・道教育庁から提出された「2014~2016年教育庁の監査結果で摘発された私立学校不正教員の懲戒現状」資料によると、教育庁が罷免・解任・降格・停職など懲戒処分を要求した教員は134人だったが、教育庁の要求どおり、実際に重い懲戒を受けた教員はわずか29人(21.6%)に過ぎなかった。なかでも、最も重い懲戒である「罷免」を受けた教員ははわずか8人で罷免処分を要求された30人の4割にも及ばない。  専門家は現在の私学法に警鐘を鳴らす。 「私立学校内にはびこる『身内びいき』を根絶しない限り、何をしても、『注意』で済んでしまう。教育部と所轄庁の実質的な監督機能が、正常にはたらくような私学法に改正されるべきである」  どこの国でも、一番の犠牲者は若者である。  彼らには、圧に屈さない強い意志と世論の追い風を受けて、光輝く未来を掴んでほしい。 <文・安達 夕 @yuu_adachi
Twitter:@yuu_adachi
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