タイのナイトライフに異変。夜遊びマナーを知らない日本人男性が増加で日本人への評判ダダ下がり

 これならまだマシ(それでも十分「タイでは通用しない」)なほうで、ほかの女性の証言では、事前交渉はなく、事後になにかと難癖をつけてディスカウントしようという人は払わない人よりも頻繁に遭遇するとも言っていた。最初から払う気がなく、騙すつもりだった可能性がある。
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タイで風俗産業に従事する女性は大半が貧困による就業のため、料金をもらえないと大変なことになる

 また、あるバーでは盗撮用の小型カメラを仕込んで店に来た日本人中年男性がいたそうだ。タイの夜の女性たちはプライバシーの侵害を非常に恐れる。親や親族にバレたくないからだ。特にスマートフォンが普及し、その注意力は格段に上がっている。そのため、ちょっとした盗撮カメラはすぐにバレてしまう。その日本人もすぐにバレたが、暴言を吐き続けた。おそらく風俗関係の店だから警察を呼ぶことはないと見たのだろう。しかし、警察がやってきて彼は逮捕された。泣きながら謝ったそうだが、あとの祭りである(その後、起訴されたかは不明)。  こういうマナー違反が今、日本人に増えているのだと、夜の店で働く多数の女性たちから聞いた。

性風俗産業だけではない、マナー劣化の日本人

 こうしたマナーのない日本人客は、日本人経営の店でも増えている。  ある日本人経営の和食店では、こんな招かれざる客がやってきたことがあるという。ある晩、日本人男性ふたりがふらりと店に入ってきた。20代30代の見た目は若い人だ。筆者も防犯カメラの映像で顔を見たが、いっていても30代前半。ハーフパンツなどだったので、旅行者と思われる。  店員は当然客と思い、席に案内しようとすると、手を振って断られた。店主は日本人のため、飲食目的ではなく店主に用事があってくる客人もたまにいるため、店員は引き下がって見ていると、男性らはそのままトイレに入り、そして出ていこうとした。ただ、トイレを使うために入ってきたのだ。日本人店主が日本語で声をかけると逃げたという。
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日本人は喫煙率も高いが、タイはたばこを吸えない場所が多いし、電子たばこは法令で禁じられているので注意

 ほかにも、その店では50代60代とおぼしき男性ふたりが6人がけの予約席に勝手に座ったため、そのとき空いていたカウンター席に案内したところ、店主と店員に憤慨して罵倒ののちに帰っていったという。  ここまでひどくなくても、タイのお国柄を理解しない行動をする輩は少なくない。タイ人は大声を出すことをあまりよしとしないところがあって、特に食事の席で大きな声を出すのは屋台であってもよくない。そうしたことも理解せずに、タイ人が行く店で日本のように大きな声で話しながら飲んでいる姿を筆者もしばしば目にする。
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筆者、高田胤臣の著書『バンコクアソビ』

 男性だけではない。  ある屋台では、どうやらテーブルの下をゴキブリが這っていたらしい。タイの屋台ではそれは当たり前のことで、それが嫌ならばちゃんとした店に行くべきだが、そのときに筆者が目撃した日本人女性らは、まるで暴漢に襲われたような悲鳴を上げて右往左往して大騒ぎした。ぱっと見はモデルのようなきれいな女性たちだったので、周囲のタイ人たちも唖然としてしまっていた。  今は航空券も安く、スマートフォンのアプリで初めての国でも相当な情報量を持って遊びに行くことができる。ましてやタイは人気観光国で、在住のブロガーなどによって日々最新情報が更新されている。ほぼ日本にいるのと同じような感覚で過ごせるので、誰でも気軽に来ることができる。  だからこそ、こうした一部のマナーの悪い日本人の振る舞いを見たら、日本が悪いイメージで捉えられてしまう。無駄に意識しすぎることはないとも思うが、日本の代表として、粋にかっこよくタイを歩いてほしいものだと、筆者も自分を顧みなければならないと感じた。 <取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:@NatureNENEAM)※本記事のすべての写真は取材者の許可を得ております> たかだたねおみ●タイ在住のライター。6月17日に近著『バンコクアソビ』(イースト・プレス)が刊行予定
(Twitter ID:@NatureNENEAM) たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など
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