党首討論、議論は本当に「平行線」だったのか? 論点ずらしで逃げる安倍答弁を書き起こしてみた

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衆議院インターネット審議中継より

 5月30日、安倍首相と枝野幸男・立憲民主党代表ら野党4党首との党首討論が開催された  党首討論の開催は一年半ぶりとのこともあり高い関心がよせられたが、安倍首相は論点をすり替えたり、時間稼ぎのために関係ないことを延々としたり陳述、野党側の野次をことさらに取り上げたりといつもどおりの不誠実な答弁を繰り返した。  首相によるこの種の不誠実な答弁には毎回各方面からの批判が寄せられるが、昨日の党首討論で目立ったのはその様子を伝えるメディア各社の「報道のありかた」への批判だろう。  なにせ、議論から逃げ、まともな答弁を拒否する安倍晋三首相のあの醜悪な姿を目撃しながら、各紙とも「議論は平行線」との論調で報道したのだ。論点をすりかえ逃げ回る安倍晋三の姿勢にこそ問題があるにも関わらず、「決め手に欠ける野党」「議論は深まらない」と嘆いてみせているにだから、痛烈な批判の声があがるは当然ともいえよう。  例えば、本サイトにも寄稿していただいている千葉商科大学特別客員准教授の田中信一郎氏は次のようにツイートしている。 “「議論は平行線」との見出しを付けた記者は、議院内閣制の原則を知らないと思われます。議院内閣制は、閣僚が国会での質問に、誠実な答弁をすることが前提です。首相に誠実な答弁の責任があります。よって「議論は平行線」は間違いで、正確には「首相は誠実に答弁せず」です。”  また、朝日新聞のTwitterアカウントは「国会で約1年半ぶりとなる党首討論があり、森友学園や加計学園などについて論戦が交わされました」とツイートしたが、そこに厳しい目を向けたのは同社OBでもあるジャーナリストの富永格氏。 “いや「論戦」は交わされていない。慣用表現に流れるのはやめましょう。”とお灸をすえている。  実際に報道された紙面を見ても、限られた紙面ゆえに仕方ないのであるが、安倍首相の答弁は「文章で読んでもわかるように」上手に編集されており、あたかも野党党首陣の質問に当意即妙で答えているかのように見える。NHKに至っては野党党首の質問部分がカットされており、安倍首相が何に答えているのすらわからない始末。  これでは怒りの声が出るのも無理はなかろう。  そこで本サイトでは、昨日の党首討論の中から、立憲民主党の枝野幸男代表と日本共産党の志位和夫委員長の質問及び安倍総理の回答を全文書き起こしをしてみた。  いったいどのような点で、論点ずらしや時間稼ぎが行われたと批判されたのか、文字で改めて確認してみたい。
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19分中12分のらりくらりの安倍答弁
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