中国で日本人宗教活動家21人拘束。緩いようで厳しい現代中国の宗教事情

中国のカトリックはバチカン非公認

 中共成立直後には廃仏運動が起こり、文化大革命では、すべての宗教が敵認定されて攻撃対象となり、多くの宗教施設が破壊された。そのため、中国の都会にある教会や寺院、モスクなどは古いものが少なく2000年以降に再建されたりと新しいものが大半を占めている。  中国政府にとって宗教は、信仰の自由よりも政府のための道具であることが重要視され、たとえば、カトリックは、総本山バチカン市国承認の司教ではなく、中国が独自に認めた司教が取りまとめている。そのため、世界中のカトリック信者から見ると中国のカトリックは本物ではないと認識されているのだ。  特に中国政府が目を光らせるものは、集会等で不特定多数の人が集まること。そして、それが反政府や反共産党勢力となることである。一度、中国政府が、反政府団体とみなすと徹底的に規制して団体を壊滅へと追い込む。そのいい例が、以前、本サイトでも取り上げた「法輪功(法輪大法)」であろう。  カトリック系とプロテスタント系のグループに属していないキリスト教は活動が認められていないので地下へ潜って地下宗教としての活動を余儀なくされており、世界的な人権活動団体などによると公認と地下も含めた中国人クリスチャンは少なく見積もっても1億3000万人を超える(うち公認クリスチャンは約2500万人)とされ、共産党員の約9000万人(2016年)を超えているのだ。  というわけで、中国では、既存の5つの宗教と少数民族宗教以外、海外の宗教が新たに容認されることはない。  では、どうやって活動しているのかというと、日本のある新興宗教は、中国各地の大学へ教育支援という名目で資金援助し、研究所を設けてその宗教の経典や歴史を研究している。実質的には布教活動をしているのと同じで、これなら合法的に教えを広めることができるというわけだ。しかし、この方法を実行するためには莫大な資金力ととてつもない人脈が必要となるので資金面に不安がある宗教団体には難しい方法だろう。 <文/我妻伊都 TwitterID:@Ito_wagatsuma
1
2