「原発は直ちに廃炉。そういう候補に当選してもらいたい」
講演会後、池田千賀子氏を激励する小泉氏
講演後に小泉氏は池田氏と菊田氏と控え室で面会し、激励した。その様子は報道陣にも公開され、すぐに囲み取材が始まった。
――政府のエネルギー基本計画では原発依存が20%、そんな安倍政権が推す(元国交官僚の花角英世)候補は、原発再稼動を止められると思いますか?
小泉氏:20%というのはデタラメ。できるわけがない。
――今回の新潟県知事選挙はどのようにご覧になっていますか。
小泉氏:新潟は原発があるのだから、直ちに廃炉。そういう候補に当選してもらいたい。
――今日、池田さんお会いになって、どのような印象をお持ちになりましたか。
小泉氏:女性なのによく頑張っていると思った。女性活躍時代だからね。
池田氏:頑張ります。ありがとうございました。私を含めて新潟県民に大きなエールをいただきました。(講演を聞いて)これからの新潟の進む方向、私が公約に掲げた「原発ゼロの新潟」について確信が持てました。
講演会場は「原発ゼロ社会実現」の決起集会のような熱気だった
「選挙には関わらない」と繰り返す小泉氏だが、去年秋の総選挙でも原発ゼロを掲げた小池百合子都知事(当時は希望の党代表)と面談、エールを送った。その後、小池氏の「排除」発言がきっかけとなり安倍政権打倒(原発ゼロ政権誕生)のチャンスを逃したが「そのリベンジを、今回の新潟県知事選から始める」との期待を小泉氏も持っているようだ。
告示日前日に野党系候補と会って激励をすれば、「原発ゼロを掲げる池田氏への支持表明」という印象を与えることは容易に想像がつく。裏返せば、いまだに「原発依存20%」にこだわる安倍自民党の支援候補への「不支持表明」と受け取られるということだ。
なお花角氏は出馬会見で野党が提出した「原発ゼロ法案」について「2030年達成は難しいのではないか」と否定的な回答をした。「将来的な脱原発社会を目指す」と花角氏は言っているものの、「原発即時ゼロは可能」と講演で訴える小泉氏や「原発ゼロ新潟」を公約に掲げる池田氏とのスピード感の違いは明らかだ。
与野党激突の新潟県知事選は「当面の原発依存派」対「即時原発ゼロ派(再稼動なしで廃炉)」という構図にもなっている。安倍政権の命運を左右する可能性のある、新潟県知事選から目が離せない。
<取材・文・撮影/横田一>
ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた
『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他
『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数