――他にアラブ圏でオリジナルアニメを作る動きがありましたが、その中でちゃんとした作品を作ったのはイマラが最初だと思います。今回のプロジェクトの出資を行なってくれたのはどの団体、または会社でしょうか?
ファトマ監督:残念ですが、それは言えません。ですが、政府などではなく私的な投資家、もしくは団体からの資金で運用されている、ということは公開できます。また、その資金集めの影響で今回のプロジェクトを完遂させるのにも苦労した、と言えます。確保した資金により合計5話分のストーリーを作ることができました。
――近年、中東でオリジナルのアニメや漫画を作ろうとする動きが出てきています。それについては先駆者であるファトマさんは今後どのような活動を行おうと考えていますか?
ファトマ監督:私はこのイマラという作品を通じて、私たちの伝統文化を世界に広められたらと考えています。できることならイマラの続編を作りたいのですが、今後イマラを含めて我々のチームがどのようになるのか、まだわからないですね。多くの人の支持が得られたらイマラを続けていきたいですね。
――資金調達以外で、一番苦労したのはなんでしょうか?
ファトマ監督:締め切り!! 納期!! 各プロジェクトの管理を行い、納期を守ることが一番大変だった。後半はほとんどの日を深夜までオフィスで過ごしてずっと家に帰ることができず苦労しました。もー、本当に疲れました。
――イマラの作品の中で注目するべき点はなんでしょうか?
ファトマ監督:キャラクターですね。各キャラクターのデザインには力を入れました。ぜひよく見ていただきたいです。そしてやはり主人公が女性である、という点が。この女性主人公という存在は、多くのアラブ人女性に影響を与えるものになると信じています。
こだわりのある表情と作画
――近年の女性の社会進出や活躍の流れにあった内容と言えますね。
ファトマ監督:そうですね、社会的な動きに連動していると言えます。作中でイマラは男性キャラクターであるダビアンの助けを借ります。女性キャラと男性キャラ、二人で力を合わせて障害を克服するというのも一つのメッセージと言えます。
――ありがとうございました。今後の展開を期待しております。
『イマラ』は単なるアニメではなく、女性の進出や伝統文化の展開を含めた様々な意味合いが込められているということがわかります。
また、5月20日にはサウジアラビアと日本の共同制作、みずほ銀行がスポンサーの『きこりと宝物』という作品がテレビ東京で放映されました。
これらの作品を見ていると日本の様々なアニメや漫画の影響を受けた内容であることが垣間見れます。今後は、中東ならではのオリジナリティにあふれた様々な作品が世に出ていくかと思いますので、ますます楽しみです。
「イマラ」アラブ首長国連邦:イーティング・スターズ・スタジオ製
【鷹鳥屋明】
たかとりや・あきら。大分県出身。大学で歴史学を学んだ後、重電メーカー、商社などを経て、日本と中東の合弁ベンチャー企業に勤務。個人的な活動として日本と中東各国で、アラブ民族衣装服を完璧に着て日々の仕事を行っていることから多くのメディアに取り上げられInstagramのフォロワーが約7万人、ツイッターのフォロワー3万人突破。中東と世界に日本文化、技術、文化を伝える語り手となるべく奮闘中。アラブ情勢について日本のテレビ番組でコメンテーターを務めることも。
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