次に行うことは、時系列に書き出した5つのアクションの中から、プロセスを進める上で、欠かせないキーになったアクションをひとつ選ぶことです。例えば、
「謝罪訪問し商品を交換した」ということがキーになったアクションだと見極めたとしましょう。
どのアクションがキーになるかは、その時々の状況は、その人の関与の仕方などで異なります。状況や関与の仕方などをふまえて、初動が大事だと考えて、「苦情連絡を受けた」最初のアクションを挙げるケースもあるでしょうし、在庫商品全体の問題なので、「仕入先へ連絡」のアクションがキーだと捉えることもあるでしょう。
キーになるアクションを見極めたら、そのアクションをさらに細かく分解していき、そのアクションを記載した下の四角の枠に、分解したアクションを、これも1分間で記入していきます。
先ほどの事例で、「謝罪訪問し商品を交換した」というアクションは、次のとおり分解されました。
・状況を説明した
・謝罪をした
・商品の交換をした
時系列に捉えるだけでなく、キーになるアクションについては、さらに分解していくと、報告が一段と具体的になります。読み手は、キーになるアクションについては特に詳しく知りたくなるものですし、キーになるアクションそのものが報告の根幹をなすからです。
分解しましたら、分解したアクションの中で、このアクションの成否を決めたアクションを○で囲みます。この例では、「謝罪をした」というアクションが選ばれました。
ここまで実施しましたら、プロセスマッピングのシートの全体を眺めてみます。そして、最もキーになる「謝罪をした」というアクションが、この位置でよかったのだろうかということを、残りの1分間で考えます。これで3分間です。
あとは、プロセスマッピングの時系列の順、見極めたキーになるアクション、キーになるアクションの分解、アクションの改善の方向性の順に、報告書の書式に従って記入していくだけです。記入に2分かかったとすれば、全部で5分あれば実施できるプロセスです。
「苦情連絡を受けた」直後にするべきではなかったか、謝罪訪問して「状況を説明」する前にするべきではなかったかということを考えます。そうすることで、今回のアクションの改善点が見えてきます。
プロセスマッピングで時系列に自分自身のアクションを記し、キーになるアクションを見極め、キーになるアクションをさらに分解して成否を決めたアクションを特定していくことは、報告を明瞭にし、読み手が関心を持つだろう箇所を具体的にするだけでなく、このアクションをふまえた今後の方向性を示しやすくなるのです。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第83回】
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『
クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある