北朝鮮のハッカー部隊は通称「121部隊」などの名で知られており、韓国社会はそのサイバー攻撃によって少なくない被害を受けてきた。実は、韓国・文在寅大統領と北朝鮮の金正恩委員長が4月27日に板門店で歴史的会談を行った二日前にも、韓国の省庁に対して大規模なサイバー攻撃が加えられた事実が明るみになってもいる。
南北の融和ムードが本物なのか、定期的に行われる政治的ポーズに過ぎないのか、いましばらく見守る必要がありそうだが、前者ならアン氏の「北朝鮮ハッカーをAI専門家に登用する」という構想はとても興味深い。もちろん、他国からは道徳的な批判が相次ぐかもしれないが、メリットしかない両国にとっては気にもならないだろう。
アン候補はまた、歴史学者であるユヴァル・ノア・ハラリの著書「Homo Deus」に、北朝鮮が第4次産業革命の巨大な実験場になりうる可能性が示唆されているとして、その将来にも期待感をあらわにした。
「自動走行車を導入する際、他の国では制度を一気に変えることができないが、北朝鮮はひとりの人間が決めるだけで次の日からすべてを変えることができる。北朝鮮が自動走行車の聖地になりうる可能性を見ている」(アン氏)
確かに先進国では新しいテクノロジーを導入する際に障害が大きい。そこには、法律や旧来のシステムとのすり合わせ、利権など、さまざまな要素がある。しかし、北朝鮮にはそもそも排除すべき古いシステムやテクノロジー、そして関連法制度がそもそもない。テクノロジー好きのギークたちにとっては、地球に残された数少ない“楽園”となるかもしれない。
今後、南北の接近をテクノロジー分野から見ていけば、政治や外交とは異なる視点が現れてくるかもしれない。
<文/
ロボティア編集部 photo by
daumdna via flickr (CC BY 2.0)>
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