NASA、新型の火星探査機を打ち上げ! 日本も中国も目指す火星探査のいま

NASAが打ち上げた新型の火星探査機「インサイト」の想像図 Image Credit: NASA/JPL-CALTECH

 2018年7月31日、地球と火星がここ最近で最も近づく「火星大接近」が起こる。その前後1か月も含め、夜空に赤く輝く火星の姿は、夏の暑い日々の中で一服の清涼剤となりそうである。  その日まで2か月ほどに迫った2018年5月5日、米国航空宇宙局(NASA)は新しい火星探査機「インサイト」(InSight)を打ち上げた。インサイトは火星の内部を調べることができる初の探査機で、火星がどのようにできたのか、どのように進化してきたのかを解明。そして地球などとの違いを調べ、太陽系ができた経緯なども解き明かすことを目指している。  NASAは長年、火星探査を継続して実施するとともに、2030年代の実現を目指し、有人火星探査計画も進めようとしている。一方で日本や中国など他国も、そして民間企業も火星探査計画を進めている。  火星大接近を間近に控えたいま、火星探査の現状についてまとめてみたい。

有人火星探査を目指す米国

 米国は1969年に、アポロ計画で月に宇宙飛行士を送り込んで以来、有人火星探査の機会を狙っていた。予算や技術の問題から、半世紀もの間実現することはなかったが、NASAにとって有人火星探査は、ある種の「錦の御旗」となっている。  現在NASAは、ジョージ・W・ブッシュ大統領の時代から続く形で、有人火星探査を見据えた計画を進めている。そのための新型ロケットや宇宙船の開発も、遅延しつつも続いている。とくに現在のトランプ大統領は、「自分の在任中に米国人を火星に送りたい」と発言するほどの熱の入れようで、その動きは加速しようとしている。  今回打ち上げられたインサイトも、その成果が有人火星探査の実現に一役買うことになっている。インサイトには地震計が搭載されており、火星にも地震があるのか、あるとしたらどれくらいの規模で、どのあたりで起きるのかということをがわかる。また、火星に落下する隕石の衝撃も感知できるので、火星にどれくらいの頻度で、どれくらいの規模の隕石が落ちているのかということもわかる。こうしたデータは、将来人が火星に赴く際、安全性などを考えるにあたって重要になる。  もっとも、いまのNASAには、有人火星探査を行うための予算の裏付けはまだない。いまのところは、まず2020年代にふたたび月に宇宙飛行士を送って、それと並行して火星の無人探査を継続して進め(すでにインサイトの次の火星探査機の開発も進んでいる)、徐々に火星へ人を送る道筋をつけていく、という大まかな方針しかない。  人間が火星に行くことは決定ではないものの、それに向けてなにもしていないわけではない、という、やや不確かな状況にある。

NASAが構想する有人火星探査の想像図 Image Credit: NASA

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なぜ各国は火星を目指すのか?
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