どちらがホンモノ? 新潟県知事選をめぐる与野党の“県民党争奪戦”

電光石火の候補擁立で、野党側が機先を制す

森ゆうこ

前回の県知事選で当選した米山隆一氏(右)の選対部長をつとめた森ゆうこ参院議員(中央)は、米山氏の突然の辞任を“新潟ショック”と表現、野党内部に動揺が広がっていた

 この会見で池田氏は、「避難計画が不十分な現状での柏崎刈羽原発の再稼働には反対」「福島原発事故の検証が先決」と主張し続けた米山県政継承の立場を明らかにした。一方で、花角氏も『県民党』を称して柏崎刈羽原発の再稼働には慎重な立場をとり、『(福島原発事故の)検証も続ける』と言っている。  記者が「原発推進の自民党が応援した候補では、米山県政の継承は難しい、花角さんに任せてはおけない、という危機感があったのでしょうか」と質問すると、池田氏は次のように答えた。 「国政の状況を見ると、官僚の皆様は『誰を向いて誰のために仕事をしているのか』と思いたくなる国民は私だけではないと思います。(花角氏出馬の)要請の経過などを報道等で知る限り、『県民党』と言っても、それを鵜呑みにして『県民が求めてきたことを必ず実現してくれるだろう』と言われても難しいのではないかと思っております」(池田氏)  野党側は、与党陣営に候補擁立で先行しただけでなく、自民党が政党色を薄めるため用いようとしたキャッチフレーズ「県民党」を先取りしたうえで「池田氏こそ“県民党候補”の本家」「花角氏は総理官邸のご意向に逆らえない“エセ県民党候補”ではないか」との疑問を投げかけたのだ。  この“サプライズ会見”を地元紙『新潟日報』は翌5月9日、「野党側 電光石火の擁立」「菊田氏 秘密裏に主導『県民党』の看板 機制制す」という見出しで報じた。新潟県知事選は、与野党による“県民党争奪戦”の様相を呈してきている。 <取材・文・撮影/横田一> ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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