日本同様、“食えない弁護士”が韓国でも増加。そんな中「社内弁護士」の需要が高まる

韓国の司法家需要低下を救った「社内弁護士」のニーズ。しかし、企業社会との折衷も必要で……

 1999年に始まった司法制度改革以来、弁護士の数は増加の一途をたどっている。日弁連によると、18年1月にはついに4万人を超えたという。同時に、司法修習生の就職難や、「稼げない弁護士」の問題も取り沙汰されている。  お隣の韓国でも近年、弁護士が苦境に立たされている。弁護士一人当たり月平均の受任件数は約1.69件。 弁護士の数が急増しているのに対し、事案件数が停滞しているため、事務所間での受任競争が激しさを増した。  案件の競争激化はのちに低価格の受任競争につながり、受任料も下落した。(大韓弁協新聞)  そんな中、「社内弁護士」の人気がにわかに広がりつつあるという。  2013年には1500人程度だった社内弁護士は、急激に人気が高まり、現在は倍となる3300人にものぼる。(法律ジャーナル)  「社内弁護士」とは、法律事務所でなく民間企業の法務部門などで働く弁護士のこと。通常の専門弁護士とは違い、あえて企業のサラリーマンとして働く彼ら。なぜ、その人気が広がっているのか。  そもそも韓国では、大学卒業後に法学専門大学院(ロースクール)へ通うことで弁護士への一歩を踏み出す。もちろん、志願者が誰でもロースクールへ入れるわけではなく、大学在学中の成績をもって、法学適正試験(LEET試験)や、公式英語能力試験、面接などあらゆる条件をクリアしなければならない。  ロースクールで3年間学べば、卒業後5年以内に弁護士試験を5回受験できる。そこで合格を勝ち取った者だけが弁護士となれる。韓国の司法試験は不合格者が再受験することによって受験者数が増え続けているが、法務部が毎年合格者数を制限しているため、合格率は下がる一方。その証拠に、第一回試験では87.15%であった合格率は、今回7回目にして49.35%と落ち込み、初めて50%を下回った。(京郷新聞)  しかし、問題は弁護士になった「その後」。  一般的には、法律事務所に所属しながら案件を担当し、経験を積んで企業の専属顧問弁護士となったり、独立して弁護士事務所を開設したりする。平均年収は約1億545万ウォン。(約1078万円)(世政新聞)  専属顧客の獲得や独立はおろか、弁護士の収入も低下しつつある今、どれだけ営業で受任件数を伸ばせるか。弁護士といえどもふたを開けてみれば、サラリーマンと同じだ。  しかし、社内弁護士ともなれば、営業をせずとも仕事は常にある。法務関連の仕事がない場合には、自社の案件を引き受ければよい。  専門弁護士と比べると報酬は若干低くなるが、安定した収入も約束されている。企業によっては法律事務所よりも優遇され、福利厚生や有給も使える保証がある。ドラマで見るような、市民に寄り添う「絶対正義」の弁護士像とは異なるが、会社員としての弁護士にメリットが多いのは事実だ。
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欠点は、所属企業への忖度が免れないこと
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