年商1億円アスペルガー女社長 「過集中」が奏功し事業成功するも、落とし穴が待っていた<2>
どこに勤めてもクビだったアスペルガーの女性が、年商1億円社長になるまで<1>)に引き続き、その半生を追う。
今でこそ年商1億円以上を稼ぎ出す立場になったアズ直子氏だが、当初は人間関係もうまくいかず、会社をことごとくクビになり、生きづらさに悩んだ時期が長く続いた。
そんなアズ氏、実は大学卒業と同時に結婚している。夫の母親が末期がんだったため、入籍を早めたのがその理由だ。
「もちろん恋愛も仕事同様うまくいきませんでした。アスペルガーは人付き合いが嫌いだけれど、“この人しかない”と思うと執着してストーカーっぽくなってしまうんです。でも夫は海外を転々としてきた駐在員で、考え方がグローバルで寛容だったのが幸いしたようです。結婚後も現在も上海在住で、物理的に離れて生活しているという点もお互いに楽なんです」
結婚をしても自立した者同士、干渉し合わない関係。故にアズ氏が会社をクビになって悩んでいる時も、体調不良で苦しんでいる時も、支えになってくれたわけではないと言う。
「逆に心配して病院に付き添ったりされたら共倒れになっていたと思います。病んでいるならどうぞ勝手に休んでいて、くらいがちょうどよかった。苦しかったですけどね」
24歳からの三年間で3回失業、次の雇用先も見つからず、途方に暮れていた27歳の時に妊娠が発覚。姑も他界し、時間をやりくりして介護に勤しむ生活からも解放された。
そこでアズ氏はすべてに見切りをつけ、独立起業を決意する。「癒しブーム」の気配が漂い始め、各家庭にようやくパソコンが普及し始めた1998年のことだ。
「とにかくひとりでできること、そして家から出なくてもいいという在宅志向にこだわった。その結果、当時ポツポツと出現し始めていたネットショップという形態に目をつけたんです」
扱った商品は、繰り返される退職と介護生活によって抑うつ状態になっていたアズ氏自身が、癒しを求めて手に取った植物素材のエッセンス「バッチフラワーレメディ(TM)」だった。
「心を植物素材のもので癒そうという考え方が、少しずつ雑誌や書籍で紹介され始めていた頃。私も本屋で目にしたのですが、当時は簡単に入手できず、自分で探して買いに行ったのが起業のキッカケになりました」
買いに行った先の業者が、「それまでは小包で輸入していたが、メジャーになるに連れ空輸しないと追いつかなくなってきた。その手配が難しいと」漏らしていたのを聞き、アズ氏は昔取った杵柄で「手伝わせてほしい」と申し出た。
スタッフとなったアズ氏はその後、レメディを安価で仕入れることができるようになったため、ならば自身のネットショップで売ろうと一念発起。現在よりも数倍難しいホームページ作りにも本を片手にひとりで取り組み、三か月後には完成させてしまった。これもアスペ特有の「過集中」の賜物なのだろう。
アスペルガー(自閉症スペクトラム)であることを公表し、講演活動やバッチフラワーレメディの販売などを行う経営者のアズ直子氏。前回記事(1
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