しかし、現時点ではこうした想定は杞憂に終わるとの見方もある。専門誌の記者は次のように語る。
「大阪維新の会は完全民営化を目指していましたが、最終的には自民党など民営化反対勢力との調整の結果、大阪市が100%の株式を保有して大阪市が公営時代同様の輸送サービスを保証することを前提とした民営化になりました。
そのため、事実上公営時代と変わらない。過去の失敗の轍を踏まず、事業の多角化に成功すればより輸送サービスを充実させることにもつながるでしょう」
過去の例を見てみれば、JR東日本やJR九州、さらには東京メトロも事業の多角化を進めて大きな成果を上げている。果たして大阪メトロでも成功することができるのか? 大阪市民の“足”の未来は、そこにすべてがかかっていると言えるかもしれない。
駅ナカビジネスの周辺地域への経済的影響など、単なる鉄道ニュースという視点だけでなく、より広範囲な視野を持って注視していきたい。
<取材・文/境正雄>