西武の新しい顔「拝島ライナー」登場!――好調の裏にあったかつての「苦い失敗」

「中央線グリーン車」登場前の囲い込みめざす思惑も

 好調なスタートを切った拝島ライナーであるが、近く大きな「ライバル」が現れることが決まっている。  それがJR中央線・青梅線を走るE233系に導入される予定の「二階建てグリーン車」だ。

JR中央線・青梅線に導入予定の二階建てグリーン車。当初は2020年度のサービス開始を予定していたが、12両化対応の駅工事で導入は3年延期に(JR東日本公式サイトより)

 これは、現在JR中央線・青梅線を走っているE233系10両編成に二階建てグリーン車2両(うち1両はトイレ付き)を増結するというもので、このグリーン車を利用すれば通勤ストレスが大きく緩和されることになる。  グリーン車の導入は2015年に発表されたもので、当初は2020年度の運行開始を目指していたものの、12両化に対応する工事の遅れなどで、導入時期は2023年度末までずれ込むこととなった。  グリーン車の導入により拝島などから新宿より先の東京駅まで乗り換えなしで快適な通勤が出来るとなれば、拝島ライナーにとっては相当な「脅威」だ。  また、現状でもJR中央線・青梅線には座席指定列車「青梅ライナー」(東京-拝島・青梅)が平日に上り1本、下り3本設定されている。新宿から拝島まで(下り)の所要時間は、拝島ライナーより最大8分ほど早く、本数こそ少ないものの、こちらも強力なライバルであることには変わりない。  西武がJRに対する優位性を保つためには、今後拝島ライナーの上り便新設などで拝島線の利便性向上を打ち出し、JR中央線方面に流出する多摩湖線、国分寺線、多摩都市モノレールの沿線利用者を拝島ライナーが利用できる拝島線3駅(萩山、小川、玉川上水)へと誘導していく必要があろう。  1968年に西武拝島線が全線開通してから今年で50年。  半世紀の歴史を乗せた拝島ライナーは、新時代に向けて走り出したばかりだ。

高田馬場駅を「ほぼ満席」の状態で発車を待つ拝島ライナー1号。(3月23日)

<取材・文・撮影/佐藤 庄之助(都市商業研究所)> 都市商業研究所 若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken
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