<現役愛人が説く経済学30>富裕層男性は、なぜ「愛人関係は風俗とは違う」と思い込みたいのか?

「風俗ではないが、セックスはしたい」という不思議な言い分

 富裕層は、前回ご説明したように「コト消費」を求める傾向があります。  コト消費は旅行や食事など、サービスの享受が中心ですから、会社経営の男性であれば経費で落としやすい。それに加えて、Aさんのように愛人バンクを使う男性は、女性に精神的なつながりを求めるケースが多いですから、女性との関係に現金が介在することを意識したくないんですね。  男性側が「現金でこの関係を買っている」と意識してしまうと、Aさんいわく「風俗と一緒」で、精神的なつながりが感じられない。  実際、彼は私とデートすることで疑似恋愛を享受しています。愛人バンクで出会ったのですから、交通費は1万円以上渡さなければならない。ところが、1万円で私とのデートを買ったと意識したとたんに、彼は「風俗みたい」と嫌な気持ちになってしまうのです。  性風俗サービスのように、女性をお金で買う関係は冷たい。僕はセックスだけがしたいわけじゃない。多くの体験を提供し、女性の人生を豊かにしたいんだ……ということでしたら、宿泊を伴う旅行に誘うのはやめたらどうかと思うのですが、Aさんに問うたところ、やはり私とはセックスがしたいといいます。  高いお金で予約した旅館で過ごせば、若い女性と親密になれる。そう考えるAさんが「僕の行動を風俗と一緒にするな」とお怒りになる理由が、私には今ひとつ分かりません。  しかし、富裕層男性は、外見に難があってからかわれたトラウマや、思春期に女子から痛めつけられた心の傷をもっておられる場合をのぞき、男としての自分に自信をもっています。 「現金を支払わなければ、若い女性と関係できない自分」を認めたくないのでしょう。これは男性のプライドに関わる大問題だと察します。  ただ、現金がいただけないのであれば、私にとってはデートするより昼の仕事で残業した方が儲かります。この取引は損失でしかありませんでした。  愛人ビジネスで現金を得るのは、まこと難儀です。 <文・東條才子>
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