そういえば、「独立宣言」したカタルーニャ州はいまどうなっている!?

 また、1981年から2006年までのケベックのGDPは毎年平均2.3%の成長となっているが、他州の平均GDPは3%の成長となっている。また、この30年間の富の成長も、ケベックの76.6%に対し、他州は109.9%の成長を達成している。人口も、1950年代にはカナダの総人口の28.9%がケベック州に在住していたのが、現在23.6%に減少。1981年から2006年の間に15歳未満の少年の人口がケベックで12%減少しているのに対し、他州は逆に7%増加、さらに16歳から45歳の人口がケベックは7%しか増加していないのに対し、他州は40%の増加したとあり、特に若者が他州に移動してしまったのである。  そのため、ケベックの人口は高齢化しており、年金や保険衛生面での問題も生じているという。  ケベックで独立運動の盛んな頃に実施された1995年の州民投票でも、独立反対50.58%、賛成49.42%という僅差であった。  しかし、現実の経済の発展を観た時にケベックは今も独立を達成していない上に、経済の成長は他州に比べ遅くなっている。当時、独立意欲に燃えていた若者たちはケベックの経済的に後退した現状を今目の当たりさせられているのである。(参照:「El Independiente」)

カタルーニャの行方は?

 スペインの場合はカタルーニャが独立を主張すればするほど、その恩恵を受けるのはマドリード州である。それに付随してカタルーニャ州に隣接したバレンシア州も同様である。カタルーニャの大手銀行2行はバレンシア州に本社を移転させている。  一方、カタルーニャは住民の過半数が独立を望まないにも拘わらず、カタルーニャの政権が今後も独立への主張を繰り返し、政治社会的に統一を欠く状態が続いている。このままの状態が続くと、恐らく20年後にはカタルーニャはケベックと同じような反省を強いられる可能性が高いであろうと危惧する声も高まっている。  ケベックの経済後退の轍を踏むことになるのか? カタルーニャの政治指導者は過去の事例から学び、カタルーニャが進むべき正しい方向を住民に示すことができるのであろうか? <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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