安倍首相、宇宙ベンチャーに1000億円の出資を発表―大きく動き出した日本の宇宙ビジネス

 また、現在の日本の宇宙ベンチャーの数は、米国などに比べるとはるかに少ない。だが、国や企業からの支援が増え、宇宙ビジネスに参入しやすくなれば、挑戦しようという人も大きく増えることになろう。  そして国内で、そして海外との間でも競争を発生させ、切磋琢磨して成功と失敗を重ね、新しい産業として自立できるようにしなければならない。その過程で、いくつかのベンチャーはつぶれることになるかもしれないが、それが新しい産業が生まれるということである。そして競争によって、宇宙業界はさらに活性化する。  そうした好循環をどのようにつくり出していくか、つまりこうした支援策という骨組みに対していかに血を通わせるかが、日本の宇宙ビジネス全体が成功する鍵になろう。  その結果は、私たちの生活がより便利に、より豊かになるという形で還元されることになる。たとえば衛星からの情報はビッグデータのひとつとなり、衛星による通信はインフラとなり、ロケットによる宇宙輸送は人や物の流れを変える。宇宙旅行が実現すれば、宇宙が人類の新たな活動圏、経済圏となるのも夢物語ではない。それによる可能性は計り知れない。

日本でもロケットや衛星の開発を目指すベンチャーが存在する。そんな企業をいかに育て、競争を発生させ、産業を作っていくかが重要となる。写真は日本のインターステラテクノロジズが開発中の「ZERO」ロケットの想像図 Image Credit: インターステラテクノロジズ

<文/鳥嶋真也> 宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関する取材、ニュースや論考の執筆、新聞やテレビ、ラジオでの解説などを行っている。著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)など。 Webサイト: http://kosmograd.info/ Twitter: @Kosmograd_Info(https://twitter.com/Kosmograd_Info) 【参考】 ・政府関連施策:宇宙政策 – 内閣府 – 宇宙ベンチャー育成のための新たな支援パッケージ(http://www8.cao.go.jp/space/policy/pdf/package.pdf) ・平成30年3月20日 第3回宇宙開発利用大賞表彰式 | 平成30年 | 総理の一日 | 総理大臣 | 首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201803/20uchuu.html) ・宇宙ビジネス投資等マッチング・プラットフォーム(S-Matching):宇宙政策 – 内閣府(http://www8.cao.go.jp/space/s-net/s-matching/index.html) ・宇宙産業ビジョン2030(http://www8.cao.go.jp/space/vision/mbrlistsitu.pdf) ・宇宙関係予算について : 宇宙政策 – 内閣府(http://www8.cao.go.jp/space/budget/yosan.html
宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関する取材、ニュース記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。 著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)があるほか、月刊『軍事研究』誌などでも記事を執筆。 Webサイト: КОСМОГРАД Twitter: @Kosmograd_Info
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