英語教育の改革では、試験や評価方法の変化だけでなく、指導体制の充実も掲げられている。では、現場の教師たちはこの改革や今後の英語教育について、どのように思っているのだろう? 「この20年で日本における英語教育は飛躍的によくなっている」(アメリカ人講師・男性・37歳)というように、外国人教師の間では好意的な意見が多かった。
「やはり、発音や発声の仕方を学ぶのは重要です。いくら文法や単語を覚えても、どうやって会話すればいいのか、自分でどう使うのかわからなければ、あまり意味はありません。日本では実生活でも、公共機関などでも、ほとんど日本語しか使われない。これからは教室で覚えたことをどうやって日本社会のなかで活かしていくのか、より深く考えていく必要があるでしょう」(オーストラリア人講師・男性・41歳)
しかし、日本人教師にとっては、まだまだ歯がゆい状況が続いているようだ。
「先進的なカリキュラムを実施している一部の進学校を除いては、全体的に訳読式の教育ばかりで現状は厳しいです。30代以上の教員の大半は訳読式しか知らず、時代に合った指導法がわからないという話もよく聞きます。また、他国に比べて、現場の教員にカリキュラムを実施する権限がないところも問題だと思います」(日本人教師・男性・31歳)
少しずつではあるが、改善されてきている英語教育。今回の改革も、初めは現場も混乱しそうだが、生徒にとってはよりよい教育を受けるチャンスになるはずだ。はたして次世代のグローバルな人材は育つのか? 親としては、通信簿の結果に一喜一憂するのではなく、失敗することを恐れない環境づくりを後押ししたいところだ。
<取材・文/林泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン