「9月ぐらいから、対ビットコインで見るとアルトコインが下げていました。ビットコインが資金を吸い上げていたのを見てビットコインを買っていったんです」 　資金を吸い上げる様子は「ビットコイン・ドミナンス」を見れば一目瞭然だった。ビットコインの市場シェアは12月にピークに達し、価格が230万円まで急騰したのはご存じのとおり。だが、ニシノカズ氏の資産を最も増やしたのはもう一つのコインだ。 「ADKです。これもDAG技術を応用したコインで、さらに匿名性が担保されている。日本では排除される傾向にありますが、匿名通貨は絶対的な需要があるので、興味を惹かれました。さらに、開発者も魅力的でした。一時期、ADKは『クリプトダオ』という取引所だけで取引可能だったのですが、開発者のリカルド氏が『信用できない』と取りやめた。すると、ダオがADK用のウォレットを全部削除して投資家がADKを引き出せなくなったんです。そのときに、リカルド氏は自腹を切って投資家に補塡したのは有名な話。Slack（チャットアプリ）上で何度か彼と絡ませてもらいましたが、非常に熱い人。銀行システムに批判的で、ADKをマイクロクレジット（少額融資）に利用しようと開発を進めているんです」 　このADKは購入してから20倍以上に爆騰。現在は資産の7割をADKで保有しているという。では、今後の戦略は？ 「今一番注目しているのはテレグラム（メッセージアプリ）のICO。VISAなどと競合する決済プラットフォームを構築して、既存の決裁システムをぶち壊そうとしている。すでにプレセールで900億円以上集めている大型ICOですが、期待値は非常に大きい。億単位の資金を突っ込む予定です」 　ちなみに、直近では「VIT」という米アダルト放送局のCEOが開発した“エロコイン”にも200万円投資したというニシノカズ氏。ゲス仮想通貨投資家の資産が今後も爆増するのは必至か!? 《ニシノカズ氏注目コイン！》 ●エイドス・クニーン（ADK） Aidos Kuneen　直近価格：2960円　発行量：2500万ADK 次世代ブロックチェーンと言われる「DAG」技術を応用したコイン。送金コストがゼロで匿名性を担保。開発グループは新興国の銀行買収を進めるほか、オンラインカジノでも採用が進んでいる。購入できるのは専用の「AIDOS MARKET」という取引所のみ ●テレグラムICO（「GRAM」ないし「TON」の予定） プロジェクト名：Telegram Open Network　時期：4月？ 匿名性の高いメッセージアプリ「テレグラム」によるICO。すでにプレセールで900億円以上を調達。一般投資家向けのICOは当初3月中とされていたが未定。流出したホワイトペーパーではクレジットカードに代わる決済プラットフォームを構築するとしている 【ニシノカズ氏】 6億円“ゲス仮想通貨投資家”。元ホスト、元キャバクラオーナー。現在は仮想通貨投資家兼ユーチューバーだが、最近は動画制作を休止中。ツイッターは@nishinokazu 取材・文／池垣 完（本誌）　図版／ミューズグラフィック