フィリピンの出版社が発行する世界地図とフィリピン地図
南シナ海の領有権問題を抱える国の1つフィリピン。そのフィリピンで発行されている地図では南シナ海や領有権問題で主張が対立する中国。そして、日本、朝鮮半島などがどのように描かれているのだろうか? フィリピンの地図を入手して検証してみた。
入手したのは、「HYDN Publishing」発行の世界地図2017(18ペソ=約39円)と「RNT danabon ENTERPRISES」発行のフィリピン国内地図2016(10ペソ=約21円)の2種類。フィリピンの大手ショッピングモール「SM」内の書店や大型書店数店を覗くとこの2社の地図が並んでいるようなのでメジャーな地図と考えていいだろう。
まずはフィリピンの国内地図から検証してみる。裏面は、地域別の都市情報が紹介されている。表の右上にはアジアの隣国と書かれた枠で南シナ海が紹介されており、赤い点線は中国の主張、青い点線がフィリピンの主張として色分けして掲載している。これを見ると“えげつないほど”フィリピン側に中国が主張する赤線が食い込んでいることが分かる。
国内地図にある南シナ海図には周辺国の位置と中比それぞれの主張を点線で表示
公用語はフィリピン語と英語。それ以外にタガログ語のように国内で方言のように話されている言葉が53言語あると紹介されている。国内地図は全体的にカラフルでフィリピンぽい陽気さが伝わってくるデザインだ。
続いて、世界地図を検証してみる。世界地図の裏面は地域別に国と地域が掲載されており、それぞれ、統治スタイル、国土面積、人口、対米ドル為替、GDPなどの情報が掲載されている。日本は、Parliamentary Constitutional Monarchyで、議会を持つ立憲君主制。タイは、議会の単語が外れ立憲君主制。アメリカは、Federal Presidential Republicで、大統領制連邦共和国。韓国は、大統領制共和国となり、アジアで共産主義国家と位置づけられているのは、中国、北朝鮮、ベトナム、ラオスの4か国となる。
表の地図下には、人口や面積、河川、原油の総産出量など色々な世界一が紹介されており、最多人口都市は東京となっている。
2社とも共通しているのは、台湾を独立国として扱っている点だ。国内地図ではミャンマー(ビルマ)と紹介するなど微細な差があるが、2社共通ということは政府の意思がここへ反映されている可能性が高い。