政権の「佐川主犯」物語に終止符! 一年前のある発言から明らかになる「綻び」

籠池氏が「身を隠した」日の直前に国会で何が起きたのか

 1年前のあのころ。籠池氏の周りには多数の支援者がいた。その一部はいまも籠池氏を支援し続けている。そうした人々に今回あらためて取材してみると、籠池氏が身を隠した瞬間が特定できた。 「籠池さんは、荻上チキ氏のラジオ番組への出演後、夜中なのに夫婦つれだって旅立った」  複数の支援者がそう証言する。  TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」に籠池氏が出演したのは、2017年2月20日のこと。この番組は22時スタートの生放送。籠池氏の出演は23時過ぎに終わっている。証言だけではなく、翌21日に潜伏先のアパホテルから籠池夫人が送った「ホテルの部屋が狭くて汚い変えてほしい」と訴えるメールが支援者の携帯電話に今も残っている。「20日深夜に旅立った」という証言を裏付ける物証といえよう。  これで間違いがない。籠池夫妻が、財務省の指示で姿を消したのは、2017年2月20日深夜だ。  先述のように、政権のストーリーは、書類改竄のきっかけは2月24日の佐川答弁だというものだ。あの答弁と決裁文書内容に齟齬が生じたために始まったという隠蔽工作は、24日以降からスタートしたと政権は主張する。しかし事実は違う。24日スタート説が成立するのは、「東京で発生した出来事だけ」でストーリーを組み立てた場合にのみ限られる。  大阪ではすでに、財務省理財局による隠蔽工作が2017年2月20日からスタートしているではないか。佐川が「面会記録の廃棄」を答弁する24日以前に、すでに大阪では「籠池を隠す」という形の、「事実の隠蔽作業」がスタートしているではないか。  なぜ財務省は、20日の段階で籠池氏に身を隠せと言ったのか?  20日以前の政府答弁に何があったのか?  2017年2月20日は月曜日。  前日19日は日曜日。前々日18日は土曜日。当然国会は休みだ。  2017年2月20日月曜日の直前国会は、2017年2月17日金曜日ということになる。  2017年2月17日金曜日。  この日、安倍晋三は、衆院予算委員会で、 「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣も議員もやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います。」  と、答弁している……。 <取材・文/菅野完> すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。現在、週刊SPA!にて巻頭コラム「なんでこんなにアホなのか?」好評連載中。また、メルマガ「菅野完リポート」(https://sugano.shop)も、目下どこよりも早く森友問題などを解説するとして注目されている。 ※編集部からのお知らせ:HBO編集部では、本記事の菅野氏の記述内容に反論がある場合、酒井弁護士ご本人からの反論原稿を喜んで掲載させていただきます。酒井弁護士、こちらの問い合わせフォーム(https://hbol.jp/inquiry)よりご連絡ください。どうぞ当サイトをご自身の意見陳述の場としてご活用ください。なお、菅野氏は酒井弁護士に対する懲戒請求を検討中とのこと。反論はお早めに
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(sugano.shop)も注目されている
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日本会議の研究

「右傾化」の淵源はどこなのか?「日本会議」とは何なのか?