「バフェットからの手紙」最新版、珠玉の投資アドバイスを読む

バフェットの手紙に見る「金言」

●「株式投資は銘柄コードを売買するものではない」 「株主への手紙」の中から、筆者が感銘を受けたバフェットの言葉を紹介したい。 “Charlie and I view the marketable common stocks that Berkshire owns as interests in businesses, not as ticker symbols to be bought or sold based on their “chart” patterns, the “target” prices of analysts or the opinions of media pundits. Instead, we simply believe that if the businesses of the investees are successful (as we believe most will be) our investments will be successful as well.”  “チャーリー(=チャーリー・マンガー、バークシャー会長)と私は、バークシャーが保有する売買可能な普通株式を、利益を生み出す事業として見ており、「チャート」パターンやアナリストの「目標」株価、メディア専門家の意見に基づいて売買されるティッカーシンボルとしては見ていない。私たちは、投資先のビジネスが成功すれば、(ほとんどの人がそうであるだろうと私たちが信じるように)投資は成功するだろうと、単純に信じている。” 「投資先のビジネスが成功すれば、投資は成功するだろう。」には、多くの人が賛成するとは思うが、それだけでは済まないで、目標株価、チャートやテクニカル指標などをあれこれとチェックしてしまうのではないだろうか。マンガーやバフェットのように、ビジネスが成功すれば株価が上がると、シンプルに、100%確信を持てるのが理想かもしれない。また、株式投資とは、売買するものではなく、会社の区分保有をするものであると考えるべきかもしれない。 ●「見るべきは配当だけではない」 “Berkshire received $3.7 billion of dividends in 2017. That’s the number included in our GAAP figures, as well as in the “operating earnings” we reference in our quarterly and annual reports. That dividend figure, however, far understates the “true” earnings emanating from our stock holdings. For decades, we have stated in Principle 6 of our “Owner-Related Business Principles” that we expect undistributed earnings of our investees to deliver us at least equivalent earnings by way of subsequent capital gains.” “2017年、バークシャーは37億ドルの配当を受け取った。それは、GAAP(会計基準)および四半期報告書・年次報告書の営業利益に含まれる数字である。しかしながら、この配当金額は、バークシャーの株式保有から獲得する「真の」利益を過小評価している。<途中省略>投資先企業の未分配利益が、その後のキャピタルゲインになって、少なくとも同等の利益がバークシャーにもたらされることを期待している。”  会社を区分保有する投資スタイルでは、投資家として得られるキャッシュフローは配当だけとなるが、配当だけ見ていては区分保有することの価値を過小評価することになると筆者は感じた。株式保有という会社を区分保有する間に、投資先企業の未分配利益は積みあがっているのであるということを、「株主への手紙」から筆者は認識できた。 ●「債券よりも株式。アクティブファンドよりもS&P500インデックスファンド」 「株主への手紙」では、毎年バフェットの主張は一貫しているのであるが、今年も、債券よりも株式を、アクティブファンドよりもS&P500インデックスファンドを推奨している。  昨年と同様に、5つのヘッジファンドのファンド・オブ・ファンズ(注;複数のファンドへ投資するアクティブファンド)とS&P500インデックスファンドを比較しているが、今年も、どのファンド・オブ・ファンズもS&P500インデックスファンドよりもパフォーマンスが悪い結果となった。また、債券と株式については、以下のように債券よりも株式の長期投資における優位性をバフェットは記述している。 “I want to quickly acknowledge that in any upcoming day, week or even year, stocks will be riskier – far riskier – than short-term U.S. bonds. As an investor’s investment horizon lengthens, however, a diversified portfolio of U.S. equities becomes progressively less risky than bonds.” “次の1日、1週間、または1年であれば、株式は短期米国債に比べてリスクが高い、リスクがずっと高いことを私もすぐに認めたい。しかしながら、投資期間が長期になるほど、分散された米国株のポートフォリオは、債券よりもリスクが低くなる。”  以上のとおり、バフェットの投資アドバイスは、債券よりも株式、アクティブファンドよりもS&P500インデックスファンドなのである。 <文/丹羽唯一朗 illustrated by DonkeyHotey via flickr (CC BY 2.0)>
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