リーマン・ショックから10年、ついに米国銀行株が騰がっていくのか?

geralt via pixabay (CC0 Public Domain)

 米国の長期金利が騰がってきた。2月23日現在、米国10年物国債利回りは2.87%と、3%に迫ってきた。2015年12月に米連邦準備理事会(FRB)が9年半ぶりに利上げを開始して以来、2016年12月、2017年3月、6月、12月と、合計5回、政策金利を毎回0.25%上げてきたので、それに従って、長期金利も騰がってきた。これまで、政策金利と10年物国債利回りの相関は必ずしも高いようには見えなかったが、現在は、2014年1月以来の水準まで騰がっている。  米連邦準備理事会(FRB)が公表した連邦公開市場委員会(FOMC、1月30~31日開催)の議事要旨(英語)では、「A number of participants indicated that they had marked up their forecasts for economic growth in the near term relative to those made for the December meeting.」(多くの委員が、「昨年12月のFOMCよりも高い経済成長の見通しに引き上げた。」と語った)と書かれている。高い経済成長の要因としては、米国から見ての海外の経済成長、緩和的は金融、および、米国の税制改革が短期的には、個人消費および企業による投資を高めることが期待される。昨年12月のFOMC時点、今年の利上げ見通しは3回であるが、景気の過熱、インフレを警戒して年4回の利上げもあり得ると、筆者は考える。

利上げは、米国の銀行にとって追い風になるか?

 利上げは、米国の銀行にとって追い風になると考えられる。銀行貸出を製造業のモノの販売に例えると、モノの販売の 売上=価格×数量 であるが、米国の銀行にとっては、利上げにより価格が上がり、景気拡大により数量が増大するからである。政策金利が上がることで、銀行貸出の利ザヤが増加する。  米国銀行の株価は、金融危機の後、EPS(1株利益)の動向と割と合致した動きをしてきたように見える。米国の主要銀行から構成される指標、“S&P 500 Financials”(参照:spindices.com)が米国銀行の株価の推移を示している。リーマン・ショックは、2008年9月に起きたが、株価は下げ続け、株価の底は、2009年3月である。”S&P 500 Financials”は、2009年3月の底値92から、現在は500に接近しており、指標値は5倍程度上昇した。一方、”S&P 500 Financials”のEPSは、金融危機の後に急上昇したものの、2014年頃から2015年頃にかけて、低金利のために停滞する期間があったが、直近は高水準にある。(参照:Stock Market Briefing: S&P 500 Sectors Earnings, Revenues, & Valuation)  上記レポートによると、2018年の今年、成長が期待できるインダストリーは、製造業、消費財、エネルギー、金融、通信、ヘルスケアとなっている。米国の銀行は、今年、業績がさらに良くなり、株価が上昇することが予想される。以下、個別の銀行の動向を見ていきたい。
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不正発覚のウェルズ・ファーゴ以外は堅調な伸び
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