被害を受けた秘書がテレビで生告発「この後どうなるか怖い」
以下は、韓国・JTBCの報道番組「ニュースルーム」における、被害者-金氏のインタビューの内容である。
Q.知事は合意の上だと言っているが?
安知事は私に、随行秘書(※金氏は当時、随行秘書)は、皆がノーと言う時にイエスと言う人でなくてはならず、最後まで知事を守る人でなくてはならないと言っていました。
いつも仰っていた事は、自分の意見を持つな、自分の考えを持つな、お前は私を写す鏡でなくてはならない、影のように生きろ。そう話していました。だから私は、知事が言う事に反論出来ませんでしたし、いつも黙ってついていく存在でした。
彼の権力がどれほど強大かを知っていたので、いつも肯定し、彼の気分に合わせ、知事の表情の一つひとつにまで合わせるのが随行秘書だったので、何も拒絶出来ることはありませんでした。だから私が望んで結んだ関係ではありません。
知事は私の上司であり、無条件でついていかなくてはならない関係。私と知事は同等な関係ではありません。
Q.二人の関係に気付いた人や、もしくは金氏自身が悩みを打ち明けた人はいるのか?
実際にSOSの信号を送ったし、或る先輩が、もしかしてその様なことがあったのかと聞いてくれたことがあります。その時には打ち明けたが、でも助けてはくれませんでした。解決方法を教えてはくれませんでした。
Q.安知事には、(金氏の)拒絶の意思を伝えたのか?
私に出来る、最大限の表現をしました。仕事の時は、難しいであったり、拒絶したりは絶対にしないので、私が口ごもり、難しいと言った事は、私にとっての最大限の防御であり拒絶です。知事にもその事は分かるはずです。
Q.今日、この場に出てくる決心をした背景は?
知事が最近(後に2月25日だと明言)、私を夜呼び寄せて、「MeToo」に関する話をしました。
「MeToo」に対し、若干不安がる感じでした。一連の「MeToo運動」のニュースを見て私を傷つけた事を知った、と。すまない、大丈夫かと聞いてきました。ああ、今日はそんな(性暴行)ことはないんだと思いましたが、結局はその日もそうされました。
「MeToo」について話し、すまなかったと謝ったにも関わらず、またそういう事があったので、私はもうここから逃れることが出来ないと思いました。どうすれば逃れられるだろうかと考えだしました。
Q.最後に何か話したいことはあるか?
このインタビューのあとが怖いです。
一番怖いのは安知事です。実際に、私が今日以降にいなくなるかも知れないとも考え、私の安全を保障してくれるのがテレビだと思いました。
この放送を通じて、国民の皆さんが私を守ってくれたらと思います。少しでも守ってくれたらと思います。真実が明かされるように、手伝ってほしいです。
私と知事とでは力の差が歴然としているので、国民の皆さんの力を借りたかったし、そして彼(知事)を止めたかったし、何よりも私自身が逃れたかったです。
(※以上、インタビューから抜粋)
実際に金氏のインタビュー動画を見ると、一言一句を恐る恐る語る話す口調が印象的だ。
インタビューの中ではまた、具体的な名前や内容の言及は避けたが、金氏が安知事以外の人からも性被害を受けた事も語られており、驚くことに金氏以外にも安知事の性的被害にあっている人の存在もあると明かされた。
金氏以外の被害者については、今回の告発で、金氏の安全が担保されることが立証されれば、新たな被害者も声を上げるかも知れないとの期待も語られた。
「MeToo運動」が劇的な広がりを見せる韓国。
権力という聖域に隠されていた、声なき被害者たちの訴えが、社会の力を借りて国民たちの耳に届き始め、加害者たちを追い詰め始めている。
一方で、留まることを知らない被害者たちの告発が、単なる「仇討ち」に終わってしまうのではないかという危惧もある。被害者たちの必死の告発を、「#MeToo」がなくなる社会にどう繋げていくのか。それが韓国の政治家たちの、本当の課題である。
<文・安達 夕
@yuu_adachi>