この判決に対して特別検事チームは「我々が提示した証拠および、33回にわたって提出した意見書の主張内容を徹底的に無視した偏向的で誠意のない判決だ」と主張。「司法史上前例のない財閥贔屓の判決」と逐一批判している。
ネット上では、「430億ウォンもの賄賂が合法化するなんて、さすがのイ・ジェヨン共和国WW」、「同じ国民として恥ずかしい」、「世界的に恥をかくのは、我々国民の役目」、「サムスングループは経営面では依然として厳しいけど、政治的には大成功だな」、「今回判決をくだした裁判長は早急に辞職を」など、厳しい意見が相次いでいる。
一方で2月23日、サムスン電子の華城(ファソン)キャンパスで、最先端の微細工程(EUV)生産ラインの起工式が行われた。
この生産ラインはサムスンが6兆5000億ウォン(約6500億円)を投じて建設したもの。イ・ジェヨン被告の釈放を受けた直後、初となる企業PRの場。
会場には金基南(キム・ギナム)三星電子DS部門長(社長)らサムスングループの幹部を筆頭に、子会社の社長やクォン・チルスン国会議員、華城市副市長、地域住民など300人余りが出席した。
しかし、司会者のカウントダウンによって降りてきた垂れ幕に、関係者は凍りついた。「華城 EUVライン 起工式」と書かれた大きな垂れ幕が、なんと上下逆さまである。
凍りつく関係者のそばで、会場からはざわめきと笑いが起きた。そもそもサムスングループは「管理のサムスン」と称されるほど、徹底かつ完璧な行事の進行に定評がある。そんな「サムスンらしかぬ」ハプニングの様子は一瞬にしてSNSで広まり、ネットでは「厄払いいけば?」などと大盛り上がり。
トップ不在が長引き、経営への影響が懸念されていたサムスン。李被告釈放にあたり、今後は経営にも復帰する見通しだが、当分逆風が続くのは確実。政権からのサポートはもうない。
失墜した企業イメージの回復は、そう簡単なものではなさそうだ。
<文・安達 夕
@yuu_adachi photo by
Oskar Alexanderson via Flickr(CC BY-SA 2.0)>