中国で台頭する「スラッシュ青年」は、虎視眈々と一夜暴富を狙う
厚労省」)。今回は、中国と日本の両国でコンサルタントとして活躍する朱子青さんに、中国の若手ビジネスパーソンの最新事情について、本連載「分解スキル反復演習が人生を変える」でお馴染みの山口博氏が迫る!
山口:朱さんは、中国無錫市出身で、日本の東京工業大学を卒業後、日本で10年、IT、経営、教育関連のコンサルタントとして活動した後、現在は上海で、グロービス中国法人でデジタル部門の責任者として活躍されています。両国で若手ビジネスパーソンと仕事をする機会も多いと思いますが、日本と中国の20代のビジネスパーソンのどこが違うと思いますか。
朱:私の周囲の日本と中国に精通している人たちに、中国人と日本人の若手ビジネスパーソンの違いを聞いてみると、次のようなキーワードが共通して返ってきました。
《中国人と日本人の若手ビジネスパーソンの違いで出てきたキーワード》
●中国人ビジネスパーソン
言語力が強い、物欲が強い、金銭欲が強い、見せびらかすのが好き、創業意欲が強い、一夜暴富(一晩で金持ちになる)、ネット依存、浮躁、焦虑(焦り)
●日本人ビジネスパーソン
保守的、無欲、安寧、現状維持、節約、挑戦欲が弱い、協調性が高い、言語力が弱い、自分の趣味に打ち込める、根気強い、我慢強い、美意識が高い、誠実
朱:私が中国に戻って特に強く感じているのは、中国のビジネスパーソンの金銭欲が飛躍的に高まったということです。金銭欲の高まりは、若手ビジネスパーソンの会話で最近よく使われる、「一夜暴富」(一晩で巨額な富を得ること)というフレーズにも表れています。一夜暴富が実現できる環境にもあるし、そのための手段として、副業、転職、起業が当たり前の状況になっているのです。
山口:日本でも副業解禁が議論されていますが、中国のビジネスパーソンの副業の状況はどうなのですか。
朱:ほとんどのビジネスパーソンが何らかの形で副業をしている、しようと試みているといっていいでしょう。車通勤をする際に同乗者を募り料金をとる、退社後に「滴滴打車」や「滴嗒出行」などのタクシーアプリに登録した運転手として仕事をする、空いた時間にデリバリーの配達をする……副業の機会はいくらでもあります。
男性も女性も、インターネットで副業するということが当たり前になっています。オークションサイト淘宝網(タオバオ)に出品する、YouTubeに匹敵する优酷网(ヨウク)や、にこにこ動画に匹敵する「嗶哩嗶哩」(ビリビリ)に投稿する…ダンスのライブビデオをアップして月収30万元(500万円)を実現したケースもあります。
山口:まさに一攫千金ですね。日本の10倍、人口14億人という、金銭欲が適える市場があるわけですね。
朱:この市場は、国と国民が一体となって作り上げたものだと思います。例えば、中国政府がGoogleを使用禁止にしたことについて、日本では政治的な意図があったり、中国国民の利便性を損なったりしているのではないかという面が強調されがちですが、同様の検索機能であれば百度(バイドゥ)、地図であれば高徳(オート)などがありますので、全く困りません。むしろ、自国民に使い勝手が良い製品やサービスを有する中国の国産企業の成長を、国を挙げて実現してきたプロセスの一環だと私は考えています。
山口:副業に加えて、転職や起業も当たり前になっているということですが、自社内でキャリア開発ができる機会は限られているということでしょうか。
厚生労働省が発表した外国人雇用状況によれば、外国人労働者数は91万人で過去最高を記録しました。最も多いのが中国人32万人で、全体の36%を占めます(参照:「副業で「一夜爆富」を狙う中国人の若手ビジネスパーソン
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