2分間で演習していくと、商品にもよるし、人によっても異なるが、20回くらい答える人が出てくる。
5回目くらいまでの答えは、ありきたりの一般的な商品説明の内容だ。
10回目くらいになると、パンフレットに書かれているやや詳しい内容が答えになってくる。
15回目を超えるようになってくると、たいてい、言葉に詰まりつつも、パンフレットにも説明書にも書いていないような、自分自身のその商品に対する思いのようなフレーズが出てくる。そうしたフレーズに、相手になるほどと思われせるアンカリング効果があるのです。
通常の形式的なメールのやりとりや御礼のやりとりには、アンカリング効果のあるフレーズが含まれることはまずありません。しかし、そのフレーズを入れることで、相手に強い好印象持っていただくことができるので、メールを終了することの懸念が小さくなるに違いありません。
もちろん、アンカリングある表現力は、メールで相手を引き付ける、対話で相手を巻き込むことにも効果のあるスキルです。
「この商品は何ですか」という質問を「このサービスは何ですか」と変えてスキルを高めることもできます。「あなたは誰ですか」という質問に変えて、自己紹介のフレーズのアンカリングを高めることもできます。
ぜひ参考にしてみてください。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第72回】
<文/山口博>
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『
クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある。