名護市長選で当選した渡具知武豊市長の露骨な「記者選別」

都合の悪い質問は徹底して「無視」

渡具知新市長

都合の悪い質問に対しては徹底して「無視」の渡具知新市長

 その後も別の記者とのやりとりは続き、辺野古新基地に関する質疑応答に戻ったので、「辺野古新基地に代わる代替案は模索しないのか」と尋ねると、渡具知市長は「他に質問はありませんか」と再び会見終了の構えをみせたが(4回目の無視)、即座に別の記者が質問をして会見は継続。このパターンが何度も繰り返されたので、以下は私の無視された質問内容を列挙しておくことにする。 ●5回目(名護市でもオスプレイが飛行、住宅地上空の飛行禁止を申し入れるとの発言を受けて) ――日米地位協定改定についてどう思われますか。そこを変えないと(危険な米軍機の訓練が)禁止できないのではないか。(5回目の無視) ●6回目(菅官房長官からの電話はなかったとの回答を受けて) ――菅さんにはどう報告されるのですか。(6回目の無視) ●7回目(市長選を振り返る質疑応答が出たのを受けて) ――公明党支持者を騙したのではないか。(7回目の無視)

これから市議会で渡具知新市長の徹底追求が始まる

 渡具知市長は市長選でも公開討論会への出席を何度も断っていた。当選後の記者会見でも、都合が悪い質問には答えないという、同様の対応をしたのだ。辺野古新基地反対の公明党と政策協定を結び「海兵隊の県外・国外移転(=海兵隊用の辺野古新基地不要)」を掲げて選挙を戦ったのだから、辺野古新基地推進の安倍政権との食い違いは明白だ。政策が正反対の自公両党の推薦を受けて当選はしたものの、埋め難いギャップについて説明するのは誰にとっても至難の業である。  しかし3月から始める市議会では、論戦から逃亡することは許されない。基地反対派(稲嶺派)市議たちが、基地問題への立場や選挙演説で語った内容の矛盾などについて、渡具知・新市長を徹底的に問い質そうと準備しているのはこのためだ。  少数与党の渡具知市政が早々に立ち往生、安倍政権に屈服する形で新基地容認を打ち出し、実質的な公約違反で支持率激減を招く事態も十分に考えられるのだ。 【取材・文・撮影/横田一】 ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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