科学的に最も効果の高さが証明されている学習法とは?
続いて、2位です。
2位:生徒の頭の良さをほめる
「ほめて伸ばす」といった言葉もある通り、生徒にポジティブな言葉をかけるのはメジャーな教育法のひとつ。この研究でも、71%の識者が「ほめるのは学習の効率アップに効果が高い」と答えたそうです。
しかし、こちらも科学的には大きな勘違い。
子供の知能をほめてしまうと、暗黙のうちに「それ以上は努力をしなくてもいい」というメッセージを送ることになり、逆に学習のモチベーションは下がってしまいます。人をほめるときは、才能や結果をたたえるのではなく、個人の努力やプロセスに賛辞を向けたほうがいいでしょう。
1位:個人に適した学習スタイルを探す
もっとも教育者のあいだに広まっていた誤解は、「その人に合った学習のスタイルを選ぶのが大事だ」というものです。「音読で学ぶ」や「読書中心で学ぶ」など、個々人にとって最適な学習法がどこかにあるはずだ、といった考え方を意味しています。
ところが、残念ながら、この手法はすでに何度も実験で否定されており、いまではマトモに論じる科学者はいません。それでも直感的に納得しやすい考え方のようで、実に90%を超す識者が効果を信じていたようです。
以上が教育界にはびこる迷信のトップ4ですが、この研究では、さらに「科学的にもっとも効果が証明されている学習法」も取り上げています。それは、ズバリ「検索練習」と呼ばれるテクニックです。
耳なじみがない言葉かもしれませんが、「検索練習」とは、ざっくり言えば「がんばって思い出す」要素が入った学習法のこと。例えば、
・フラッシュカード
・テキストの暗唱
・模擬テスト
・クイズ
などが代表的なテクニックです。
とにかく意識して「思い出そうとする時間」を作らないと、私たちの脳は、うまく情報を記憶してくれません。どんな勉強でも、まずは覚えたいことを「クイズ形式」に変えていくのが、効率良い学習の近道なのです。
科学の世界では、「検索練習」は最強のテクニックのひとつとして昔から認められており、メタ分析で高い効果が確認されています。何か新しいことを学びたいときは、小難しい勉強法を使うよりも、まず最初に選ぶべき学習法だといえるでしょう(2,3)。
それにも関わらず、アメリカ進歩センターのデータによれば、60%近くの識者はいまだに「クイズ形式の学習は効果がない」と考えていたとか。これほど世間の認識とかけ離れた学習法もないかもしれません。
高齢化が進む現代では、誰もが生涯をかけて新しいことを学び続ける必要があります。そんな状況下で意味のない学習法を使い続けていたら、貴重な人生を棒に振りかねないでしょう。勉強の方法に迷ったら、ぜひ「検索練習を」試してみてください。
(1)Ulrich Boser (2017)What Do People Know About Excellent Teaching and Learning?
(2)Angela C. Jones et al. (2015)Beyond the Rainbow: Retrieval Practice Leads to Better Spelling than Rainbow Writing
(3)John C. Nesbit et al. (2006)Learning With Concept and Knowledge Maps: A Meta-Analysis
<文/Yu Suzuki>
【Yu Suzuki】
月間100万PVのアンチエイジングブログ
「パレオな男」管理人。「120歳まで生きること」を目標に、日々健康維持に励んでいる。アンチエイジング、トレーニング、メンタルなど多岐にわたり高度な知見を発信している。NASM公認パーソナルトレーナー。あまりに不摂生な暮らしのせいで体を壊し、一念発起で13キロのダイエットに成功。その勢いでアンチエイジングにのめり込む。初の著書『
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