実際、1月17日のミートアップを訪れると、大雨にもかかわらず150人超もの参加者が集結し、今回のテーマである「シェアリングエコノミーとブロックチェーンの相性と課題」、「ブロックチェーン技術で実現する共有財産の拡張と海外事例」、「次世代型の信用情報プラットフォーム」などを発表する登壇者の話に、一様に身を入れて聞き入っていた。
こうしたミートアップの現場で得られるのは、登壇者からの技術・ビジネスマネジメント的情報だけではない。ディスカッション後に設けられる懇親会では、参加者各々の抱く展望に、一緒になって活路を見出せる経験者を募ったり、互いの知識の穴埋めをしたりできる場が設けられていることも参加意義の大きいところだ。
今月には、14日の東京でのミートアップの他、21日に初心者向けの「Blockchain EXE Lite(ブロックチェーン エグゼ ライト)」、23日には日本の製造都市である名古屋でも「Blockchain EXE Nagoya」の開催が予定されるなど、ブロックチェーンにおける可能性の共有化は着々と広がりを見せる。
このBlockchain EXEは先日、海外でのミートアップ開催も果たしている。
1月9日、アメリカのニューヨークにて、仮想通貨の1つ「イーサリアム」を産み出したことで知られるEthereum Foundationの共同創業者Joseph Lubin氏が設立した企業「ConsenCys(コンセンシス)」と共同で、ミートアップを開催。
NYでのミートアップに登壇する石井氏
日本からは、前出の代表の石井氏と、同副代表でKDDIの茂谷保伯氏、日立製作所研究開発グループの長沼健氏が登壇。参加した230人ものエンジニアらを前に、スマートホームとスマートコントラクトの現状と可能性などについて意見交換を行った。
今回のミートアップに参加した現地の大学に通う学生は、「自分の学校では今セメスターからブロックチェーンに関するクラスが開講された。新しい分野であるため、教授も一緒になって可能性を開拓していくのが面白い。今回のような国や文化を越えた交流イベントには大きな意味と価値がある」と話してくれた。
元来、日本の企業には、競合や機密保持の観点から「情報を守る」という基本的な社会構造がある。
そんな中で、現在のブロックチェーンの技術開発においては、こうした企業や国の垣根を取り払い、情報を共有することで互いの知識レベルの底上げをする只中にある。
本格的な実用化にはまだ時間がかかるだろうが、近年に起きた仮想通貨におけるパンデミックに鑑みると、世の中の常識をひっくり返すような産業が、それほど遠くない未来に誕生するのもおかしい話ではない。
【橋本愛喜】
フリーライター。大学卒業間際に父親の経営する零細町工場へ入社。大型自動車免許を取得し、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ足を運ぶ。その傍ら日本語教育やセミナーを通じて、60か国3,500人以上の外国人駐在員や留学生と交流を持つ。ニューヨーク在住。
フリーライター。元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場を訪問。ブルーカラーの労働環境問題、ジェンダー、災害対策、文化差異などを中心に執筆。各メディア出演や全国での講演活動も行う。著書に『
トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書) Twitterは
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