タイでJリーグ時代の数倍を稼ぐ下地奨、スペイン視察で得た知見を語る

下地奨

タイリーグでJリーグ時代の数倍を稼ぐようになった下地が、スペインで得た気づきとは

 Jリーガーから銀座のクラブボーイを経て、タイに渡った下地奨(参照:『タイで星を掴んだ男・下地奨が語る「金持ち選手、貧乏選手」(1)』)。  その後、下地はタイ三部のウドーンタニFCに加入、クラブを二部昇格に導いた。  今回、シーズンオフで一時帰国した下地はその後しばらくスペインに滞在し、再びタイへ旅立っていった。筆者はそんな下地と出発直前の羽田空港で待ち合わせ、慌ただしい中久しぶりに話を聞くことにした。  せっかくの休みでたまには日本でゆっくりしたかっただろうに、なぜスペインに行っていたのだろうか。 「長年僕のことを応援してくれている方がいましてね、その人に17歳の息子さんがいるのですね。で彼がスペインのチームでサッカーの練習に一日参加するということになり、それで一緒にバルセロナなどに行っていました。その方はバルサのソシオの大物とも親しくて、僕らはその方の家に泊まりました」  その際に、生まれて初めてカンプ・ノウを見たという。 「第一印象ですか? デカいな、その一言ですね。何せ十万人近く入るスタジアムですし、今度さらに拡張工事をするらしいですからね。そこに日本の建設会社も赤字を承知で入ると聞きましたよ。短期的には赤でも、日本なりアジアなりでスタジアムを作るときには百年くらいはこの実績はきくでしょうからね」  カタルーニャといえばただいま独立か否かで揺れている。その辺について何か感じるところはあったのだろうか。 「こればかりは住んでみないとわからないですよね。州意識の強さというのは感じましたけど、それ以上のことは一週間くらいの滞在ではわからないですね」  ただ、その上で最近強く思うことがあるのだという。 「よくお題目で、“政治をサッカーに持ち込むな”と言うでしょ。でも、政治家は否応なく政治をサッカーに持ち込んで使うわけです。でもそれが完全になくなったらサッカーの魅力が半減するのではないかとも思うんですよ。とすれば応援するのは上手いから・強いからだけになってしまいますよね。なら来年弱くなったら応援しないのかということですよね」
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国ごとにチームを作るというのは、それ自体が“政治”そのものではないのか
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