突然の大雨でタクシー料金が3倍に! イスラエルならではのしたたかな商習慣

しれっと安息日料金を上乗せするタクシーも

 さて、金曜日の夕刻以降などのタクシー移動にも気をつける必要がある。安息日(シャパッド)の影響もあり、そもそも走っているタクシーの数が少なく、つかまえにくい(Gettなどのタクシー乗車専用アプリを使っても同じである)。  安息日料金がかかるから、日本で1メーター行くところでも40シェケル、50シェケルかかる(1200~1500円)。  乗る前からしっかり、安息日料金がかかることを説明する運転手もいるが、着いたところで、しれっと安息日料金がかかるのでと、いきなりメーターの料金が跳ね上がる場合もある。  私の一番ひどい経験をお話すると、安息日ではないが、お客さんと歩いて6~7分のところに会食に行くところで、ものすごい雨が降り出してきた(イスラエルでは、土砂降りになることは1年に数日なので、そもそもあまり備えをしていない)。  会食予定時刻は19時で、私の時計は18時50分。お客さんと一緒に、傘も持たず土砂降りの中を歩いていくわけにはいかず、また、遅れるわけにもいかないので、ホテルのタクシーに乗っていくことを考える。  ただ、通常10~15シュケル(300~450円)で行けるところで、50シュケル(1500円)と言ってきた。しかもタクシーは、1台しか止まっていない。  そして、私たち以外にもタクシー待ちをしている人が数人はいる。急遽の大雨で次のタクシーはいつ来るかわからないし、会食の開始時刻に遅れる可能性が高いし、そのタクシーに乗らざるを得ないので、しぶしぶ乗ることにした(ちなみに、タクシーがつかまりにくいせいか、私たちは到着時刻に間に合ったが相手は遅れてきた)。  タクシー運転手が賢いというよりも、こういう商習慣の国なのであろう。  顕著な事例ばかりをお伝えしたが、乗るタクシー「固定か?メーターか?」と聞いてくるタクシーもあれば、勝手にメーターを入れるタクシー、乗る前に交渉して金額が合わないと載せないタクシーなど様々である。  そもそも、交渉で生きてきた人たちなので、こうしたことはタクシーだけでなく、ビジネスでも珍しいことではないのだ。 【加藤 清司】 株式会社イスラテック代表取締役。1980年静岡県浜松市生まれ。2006年、「ある技術」に注目しそのルーツを調べ、イスラエルへと旅立ち2か月過ごす。現在、日本を代表するテクノロジー企業を対象に、イスラエルのスタートアップとのアライアンスを支援。2017年1月、『スタートアップ大国イスラエルの秘密』を出版。
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