タイのATMで起こりうるほかのトラブルは、現金が出ないということもある。先に書いたように紙幣が不足している場合、普通はその趣旨が表示されるのだが、ときどき紙幣が不足しているにも関わらず通常通り作動し、入力が処理されてしまうのだ。
これも筆者の実体験だが、ある日街中のATMで数百バーツを引き出そうと操作した。ところが、現金の吐き出し口は開いたものの空っぽだった。そのままなす術もなく、口は閉じ、カードと、現金を下ろしたことになっているレシートが出てきた。
コールセンターに電話をすると、システム上では現金が出たことになっており、あくまでも通常の状態であるという。要するに、あなたが二重取りをしようとしているのではないか、というようなことをいうのだ。そういわれてみると、受け取っていない証明が逆にできない。食い下がって状況を説明すると、最終手段としては月末の集計で誤差が出るはずであり、そのときに受け取っていない金額が一致すれば、返還される「かもしれない」といった。結局、その金額は返ってこなかった。
このように、タイのATMでカードが飲み込まれたり、現金が出ないトラブルはいつでも起こりうる。筆者の場合、返ってこなかったのが数百バーツ(1000円台)だったからまだよかったものの、タイのATMの引き出し限度額2万バーツ(約6万円)ならかなり厳しい。
では、これを回避する手段はないのか。筆者が提案できる対策はひとつしかない。
それは、銀行に併設されたATMで引き出すことだ。そのときになにかあれば、すぐさま銀行員に対処してもらうことができる。もちろん、パスポートなどの身分証明証は必須だ。タイは本来はパスポートを常時携帯していないと警察に拘束されることもあるので、持っていることは前提としたい。
市中に独立して営業する支店だと週末や15時以降は閉まっている。商業施設なら商業施設が営業していれば11時ごろから20時くらいまでは窓口も開いているので問題ないでしょう。
高額をおろすなら商業施設内の銀行がセキュリティー的にも安心
旅行者は非日常のタイで派手に金を遣って楽しむこともある。クレジットカードのスキミングも多いタイでは最も安心なのは現金になってしまう。そんなときにATMでひどい目に遭わないために、そういった自衛手段は忘れないようにしたいところだ。
両替所のATMは問題があっても対処されないことが多いので要注意
<取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:
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