IR実施法成立に向けた「ギャンブル等依存症対策法案」が本格的に議論
勿論、世の中にパチンコ店は1万店舗もあり、すべての店舗で入場制限をかけることは不可能であるし、近隣駅を含めた自宅周辺のパチンコ店すべてに申告するのも中々難儀ではあるが、特定のパチンコ店にしか出入りしない一人暮らしの高齢者が、年金等の生活費をパチンコにすべてつぎ込んでしまうという事態等に関しては、その家族からの申告を店舗が受ければ一定の効果も見込まれる。
9月29日に発表された厚生労働省の統計によれば、生涯でギャンブル依存が疑われる状況になった人は約320万人と推計されている。
これは諸外国に比べ大きい数字ではあるが、併せて直近1年間でギャンブル依存が疑われる人の数は約70万人とされており、この数字の裏を返せば、約250万人は何らかのきっかけで、ギャンブル依存状態から回復したということにもなる。
この回復の多くは、施設や治療等を経ない自然回復である。
パチンコ業界が本腰を入れ始めた依存問題対策。これらの対策に「完璧」はない。パチンコ業界が提供するのはあくまで「きっかけ」である。
パチンコ・パチスロ依存の問題を抱える人たちの中に、仮に重度の人と軽度の人がいるとして、軽度の人に関しては業界が取り組む依存問題対策はある程度は効果があるだろう。
1月からの通常国会において、IR実施法成立に向けた「ギャンブル等依存症対策法案」が本格的に議論される。
日本でのカジノ設置を推進したい与党や維新側と、その設置やギャンブル依存症問題解決により重きを置く、立憲・共産などの野党との激しい論争が予想される。
遊技機規則の改正や高射幸性遊技機の自主撤去など、依存問題対策に翻弄されるパチンコ業界。今後、国会でのギャンブル等依存症問題の議論の推移によっては、より一層の苦境に立たされるかも知れない。
<文・安達 夕
@yuu_adachi>