中国人観光客が韓国より日本を選ぶように。その要因は「爆買い」から変化した中国人の旅行目的にあり

 秦代表は、昨年7月に就任した中国国家観光局駐日本代表処首席代表(観光局トップ)王偉氏のインタビュー記事を参照しながら説明してくれた。  90年代後半に日本語の癒やしから生まれた「癒治系」という造語があるが、癒治系は、日本語の癒やしと少し違っており意味が幅広い。何に癒やしを感じるかといえば、たとえば、日本語の定義に近い花や森、滝、湖など自然やかわいい動物たちから感じるものの他に、多くの中国人は、食事、ホテル、駅、言葉、食器、自動販売機、サービス、トイレからも癒やしを感じるのだという。もちろん、癒やしにはショッピングも含まれ、その点は韓国でも同じだ。しかし、韓国からはショッピング以外の癒やしはあまり感じることができず、それが中国人の訪韓リピート率に反映しているという。 「韓国は(中国人から見ると)食事はどれも同じように見え、器も同じに見える。あとソウルと地方都市の差もあまりなく、どこへ行っても画一的な街並みで自然も中国のような人工的なものに見えてしまい癒やしが感じられないのです」(同)

リピーターになると地方都市や文化遺産へも足を運ぶ中国人も現れてくる

 もっとも日本も韓国同様に画一的な部分は多くあるが、中国的癒やしを求める人たちには日韓には違いがあると感じているようだ。  前述の秦氏は、日中関係の最悪の時期は脱したと考えているようで、2018年はさらによくなり中国人旅行者は爆買いからこれまで中国人が見向きもしなかったような地方や離島を訪れるなど体験型の癒やしを求める傾向がより強まるとの予想を示し、日本の各サービスもそれに対応して変化が進む1年になるのではないかと話す。 <取材・文/我妻伊都 Twitter ID:@ito_wagtsuma
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