ゾゾスーツの登場で革命前夜!? 2018年のアパレル業界を占う

 ECサイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイが昨年11月末に「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」を発表し、ファッション業界に衝撃が走った。着用してスマートフォンと接続すると自動的に採寸され、ゾゾタウンでそれに合った商品を購入できるというものだ。  転換が起きつつある今年のアパレル業界の動向について、社団法人「服のコンサルタント協会」代表理事の森井良行氏は解説する。 「年のアパレル業界は、『定番アイテム』と『機能性素材(テック素材)』がキーワード。また、年頃から始まったノームコアの流れが今年も続きそうです。シンプルな定番アイテムや定番コーディネートが主流となる時代。かつてファッションは若い世代が個性を表現する手段でしたが、現在ではより実用性が重視される流れなのです」 「ノームコア」とは「究極の普通」を意味し、一シンプルなスタイルを指す。ユニクロの広告で見かけるような、奇をてらわないオーソドックスなスタイルのことだ。 「年代~年代半ば頃までは、“これさえ着ていればオシャレ”という時代がありました。たとえば年代はコム・デ・ギャルソンをはじめとするモノトーンファッションやケミカルウォシュジーンズ、90年代はスタジャンやナイキのエアーマックスなどが注目されましたが、それ以降は流行が多様化した。さらに年代以降はもはや流行という概念自体が希薄になった。昨年の服が今年も同じ値段で売られていることもあり、『今これが流行っている』と言えない時代になりました」  ユニクロがファストファッションからの脱却をはかり、リーズナブルでも長年着られる「ライフウェア」を提唱しているのは、その表れと言える。  だが、そうしたなかでも保温性や速乾性、軽量性などの機能を持つ化学繊維「機能性素材」を使ったアイテムは極めて好調だという。流行をしいて言うなら、これだと言えそうだ。  ユニクロのヒートテックやエアリズムが代表例だが、近年は東レや帝人といった繊維メーカーが次々と開発を進めている。 「東レのクールアベニュー、帝人のアクティビスト、小松精錬のクールドッツなどが好調です。いずれも夏向けの軽くて涼しいポリエステル系素材ですが、この2~3年で質感が大きく改善されました。高級感があって着心地もよく、価格も手頃であるため、ジャケットなどによく使われています」  東日本大震災以降、クールビズが社会全体まで浸透したことも後押しした。節電意識が高まり、機能性素材を着用することの意味が大きくなったのだ。 「百貨店の売り上げは苦戦が続いており、今後はネット販売の流れが拡大していくでしょう。ゾゾタウンの返品可能な制度は日本人の国民性には抵抗が大きいですが、ここをクリアすれば、新たな時代に突入するかもしれません」
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コーディネートからシェアまで、個人向け需要拡大?!
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