米情報機関研究員が警鐘「IS衰退はテロリストの消滅理由にはならない」

社会不満が高じる日本もテロの温床になりうる!?

 今後もISによるテロ事件が頻発すると推測させるもう1つの要因が、「ホームグロウン・テロリスト」(以下、HGT)の存在だ。  HGTとは、組織の主義主張に感化され、自らが生まれ育った国で自発的にテロを実行するテロリストのことである。彼らの起こすテロは、組織から直接指示を受けたものではないため、犯行を事前に察知することが難しい。  ISが従来のテロ組織と異なるのは、巧みなネット戦略だ。SNSを介して全世界に配信されたプロパガンダ動画は、知識が浅薄で自国に不満を持つ若者を共鳴させてきた。欧米で頻発するテロには、このHGTによるものが目立つ。 「貧困や差別などといった格差社会に絶望する若者にとって、理想のために戦うISは、まさに羨望の的です。こうした根本的な原因から生まれた感情は、支配地域の衰退では消えることはありません」  日本国内ではISと直接的にリンクする大きな事件は発生していないが、HGTが生み出される可能性もゼロではない。  また、社会的背景から見ても、日本の若者はIS要員としてターゲットになり得る状況と話す。 「日本の均質な社会は、他国よりもHGTを生み出しにくい環境ではあるものの、不満を抱く若者は、どんな社会にも存在します。特に現在、日本の少子高齢化が及ぼす多くの問題を直接的に受けているのは、働き盛りの若者です」  外国人労働者の増加に伴い、今後日本はテロリストの入国や、テロの標的になる可能性も上がると警鐘を鳴らすルービン氏。日本が本当にテロ対策を必要とするのは、ISの勢力が衰退したこれからなのかもしれない。
マイケル・ルービン氏

マイケル・ルービン氏

【マイケル・ルービン氏】 アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所上級研究員。アメリカ国防省職員などを歴任し、現職。専門分野は中東の政治と外交問題、テロリズム。 <取材・文/橋本愛喜>
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