ただ、現在の日本の農業機械市場は苦しい状況にある。
農林水産省の「
農業機械をめぐる情勢」(平成28年3月)によれば、農家数の減少に伴い、主要農業機械(トラクター、田植機、コンバイン)の国内向け出荷台数は年々減少している傾向にあるのがわかる。
販売農家数は、1975年に495万戸あったが、2013年には146万戸まで減少した。主要農業機械の国内向け出荷台数については、1995年および2014年の比較データがあるが、
トラクター 90,623台⇒46,104台(▲49%)
コンバイン 64,572台⇒21,004台(▲67%)
田植機 81,729台⇒27,756台(▲66%)
と減少している。
ただ、海外向けの輸出額については、一時的には大きく減少したものの、近年はアジアを中心に日本製農機へのニーズの高まりから持ち直している。主要農業機械の出荷額は、1995年および2014年の比較データがあるが、
国内出荷額 5,092億円⇒3,041億円(▲40%)
輸出額 1,046億円⇒2,407億円(+130%)
出荷額合計 6,138億円⇒5,448億円(▲11%)
となっている。
こうした状況を鑑みるに、東南アジアを筆頭に、グローバル市場における強い販売力を持つマヒンドラ社との提携はこれ以上ない好機だったと言える。
三菱マヒンドラ農機は、グローバル市場において、従来の米国市場へのトラクターのOEM供給に加えて、マヒンドラ&マヒンドラ社の製品ラインナップを補完する重量の軽いトラクターに強みが発揮されると期待されている。マヒンドラ&マヒンドラ社の世界戦略の中で、日本はトラクターの研究開発拠点、製造拠点として位置づけられている。(参照:
annual review FY17)
島根の発明家が興した会社が、時を経て日本、そしてインドの財閥系企業と提携し、世界を目指す。少年時代の忠次郎の思い描いた夢は、まだ続いているのだ。
<文/丹羽唯一朗>