企業不祥事は絶好の投資チャンス――利益確定のタイミングとは?

罪の重さは株価に無関係 下落後のリバウンドは絶好機

藤本誠之氏

藤本誠之氏

「不祥事は絶好の投資チャンス。罪の重さと株価は無関係ですし、上場企業はそんな簡単にはつぶれません。破綻したタカタでさえも、チャンスも逃げ場もたくさんありました」  と強気の姿勢を見せるのは、SBI証券客員マーケットアナリストの藤本誠之氏だ。 「不祥事が発覚すると投資家は恐怖で一斉に投げてきます。さらに最近はアルゴリズム取引の影響もあって一度売られ始めると下げが加速しやすい。行き過ぎた下落の後には必ず巻き戻しが来るので、そこを狙うのです」  確かに東芝も不正会計発覚以降、株価は直近の高値である535円から155円まで下落したが、その間も上下に大きな変動を繰り返している。そして、底をつけてからは475円まで急回復した。この波にうまく乗れていれば、莫大な利益を上げることも可能だ。 「ただし不祥事株投資は本来買ってはいけない銘柄への投資なので、割り切りが必要です。あくまでも暴落後のリバウンド狙いに徹することが重要で、欲を出すのは厳禁です」  具体的には、株価が底をつけて上昇に転じたタイミングで買い、不祥事発覚前の株価から4割ほど戻したら売却する。いわゆる「半値戻し」の水準には売りが集中するので、その手前で確実に売り切るのがポイントだ。 「不祥事での下落は大きいので、これでも十分値幅は取れます。ただし、底値と判断した水準を割って下落したらすぐに損切り撤退すること。次の底打ちで再度参戦すればいいのです」  底値付近で投資できなかった場合は無理に買おうとせずに様子を見てもいい。自動車や飲食など、四半期決算以外に月次報告を出す業種であれば1年後を狙うのもアリだと藤本氏はいう。 「不祥事発覚直後は売り上げが大きく下がるので、1年後の月次売上高などでは前年同月比が急伸しているはず。そこに株価が反応するのを狙うのです」  いずれにせよ、発覚前の株価に戻る前はドライな短期取引に徹するのがポイントだ。 「不祥事は多いので、チャンスは何度でもやってきます。銘柄に惚れこんだり執着しないことが成功のコツです」 【藤本誠之氏】 SBI証券シニアマーケットアナリスト。銘柄発掘に強い「相場の福の神」としてファンは多い。近著に『難しいことは嫌いでズボラでも株で儲け続けるたった1つの方法』。 取材・文/森田悦子 取材/高城 泰(ミドルマン) ― 不祥事銘柄[底値買い]で荒稼ぎ ―