この経験から井村氏は、短期投資のルールを厳格化。入念な企業研究による中長期投資も並行し、毎年1000万円ほどの利益を出せるようになった。特に重視するのは業績とビジネスモデルの将来性だ。投資する銘柄は少数に厳選し、社長に直接質問できる株主総会にも、必ず出席するようにしているという。
「ファッション通販の『バイマ』を展開するエニグモが、傘下サービスのPRにモデルの紗栄子さんを起用した時、『ライバル企業(ゾゾタウンを展開するスタートトゥデイ)の社長の彼女を起用していいのか?』と総会で質問したら吹き出されましたよ」
’17年には「いきなりステーキ」で大躍進したペッパーフードサービスで、投資額を3倍にする成功を収めた。ペッパーフードといえば、’07年にペッパーランチの従業員が女性客を拉致監禁してレイプするという事件を起こしている。さらに追い打ちをかけるようにO-157の食中毒事件を起こし債務超過寸前に陥るという、まさに不祥事でどん底を見た銘柄だ。
「ペッパーフードはその成長性に注目したんですが、投資する前に過去の不祥事についても調べました。凶悪なレイプ事件から債務超過寸前にいたるプロセスを想像すると、僕が社長ならとてもメンタルが持たないと思うほどキツい。そんな状況下から誠心誠意、まっすぐな経営で這い上がった会社だから、本物だと判断して投資したんです」
不祥事銘柄のペッパーフードで投資額は約3億
直近1年で株価が’10倍超になったペッパーフードサービスは、’17年の株式市場を大いに盛り上げたテンバガー銘柄のひとつ。不祥事株投資は大きなリスクを伴うが、得られる果実も大きい。
【元芸人、個人投資家 井村俊哉氏】
’11年に100万円の元手で株式投資を本格スタートし、’17年4月に1億円を達成。キングオブコント2011で準決勝に進出したコントトリオ「シンブン」(元ザ・フライ)の一員だったが、’17年6月に引退。中小企業診断士
取材・文/森田悦子 取材/高城 泰(ミドルマン) 図版/ミューズグラフィック
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