東芝を海外勢に叩き売ってはいけないたった一つの理由

増資引受先の大半は怪しい海外ファンド?

 実は、11月に決めた6000億円の増資も非常にいびつです。発行される新株は発行済み株数の54%にも相当します。通常であれば株主総会の承認が求められる規模ですが、東証も関東財務局も“黙認”しているのです。引き受け先も奇妙です。60社の引き受け先が公表されていますが、ことごとくオフショアにある投資ファンドなのです。それも名前も聞いたことのない実態の定かでないファンドばかりです。つまり、直近の営業利益(’17年4~9月期)の82%を稼ぎ出す半導体事業のみならず、東芝本体も海外に売り飛ばす格好なのです。  これらの売却交渉と増資で得をするのはゴールドマンサックスなどの外資系投資銀行やM&Aのアドバイザーだけ。増資で株価は下げ、半導体事業売却で企業価値も失われるのですから、既存の投資家はたまったものではありません。日本を代表する企業だった東芝を叩き売りしていいのか? 今一度考えるべきでしょう。 【闇株新聞】  国内大手証券でトレーディングや私募ファイナンスのアレンジを手掛けた後、独立。’10年にブログ「闇株新聞」を創刊。オリンパス事件等に関して、いち早く真相を解き明かして話題に。’12年から有料メルマガも配信中。 ― 号外[闇株新聞]2018年の相場を占う ―
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◆オリンパス事件と東芝問題を追った新著

 ’11年に明るみに出た「オリンパス事件」をご記憶だろうか? いち早くその真相を解き明かした闇株新聞氏はその後も、オリンパス経営陣や“指南役”と称された元証券マンらの裁判資料の収集や本人への取材を継続。指南役らの最高裁判決が出るのを待って、かき集めた膨大な資料を整理し、『経済事件のつくり方~オリンパス事件と東芝不正会計問題~』(仮題)と題したノンフィクション作品を出版予定だ。なぜオリンパスは事件化して、東芝は事件化しなかったのか……? 忖度と深謀遠慮が交錯する経済事件の裏側を解き明かす。
 オリンパス事件と東芝不正会計問題を追った闇株新聞氏の新著『経済事件のつくり方』(仮題)は’18年発売予定