日本植物燃料代表・合田真氏
――“新しい経済構築”のために、私たちにもできることはありますか?
合田:資産形成用に長期的投資をする方も多いと思いますが、その際には「ESG投資」を念頭に置いておくといいのではないでしょうか。環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)という3つの要素に配慮した企業を重視・選別して行う投資のことです。単なる社会的事業への投資というより、企業価値を高めたりリスクを減らしたりする行動としての要素もあって、世界では3割、ヨーロッパでは6割の投資マネーがESG投資だと言われています。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、ESGの要素を考慮した投資原則を定めています。GPIFが動けば相場も動きますので、短期運用も含めて、投資家の方は頭に入れておいたほうがいいでしょう。
――なんだか、小口投資家には敷居が高そうですが……。
合田:そんなことはありませんよ。ESGのような非財務諸表を重視した、小口で買えるファンドも増えています。「
草食投資隊」隊長の渋澤健さんが会長を務めるコモンズ信託や鎌倉投信などがいい例です。また、社会問題をビジネスで解決しようとする起業家と投資家を直接結びつける、「ソーシャルレンディング」という投資も急速に伸びています。利回りのよいものもありますので、ぜひ検討してみてください。
《投資しながら社会に貢献!「ESG重視」ファンド》
●クラウドクレジット
出資金額約50億円を誇る一大投資型クラウドファンディングプラットフォーム。海外案件に特化し、世界経済の成長を取り込む投資が魅力。外貨建てによる投資も可能な一方で、為替ヘッジがある商品も
●セキュリテ
SDGs(持続可能な開発目標)にインパクトを与え、個人投資家と事業者が社会的価値をともに生み出すことを目指す。復興支援、貧困削減、環境改善、健康増進などの日本国内事業への投資案件が充実
●KIVA
ビル・クリントン元米大統領がしばしば取り上げることでも有名な、老舗P2Pマイクロファイナンス機関。世界中の個人から零細事業主への融資で、持続可能な貧困緩和を目指す。運用累計額は約200億円に上る
●コモンズ投信
ガツガツしない長期信託を広める「草食投資隊」隊長の渋澤健氏が会長を務める独立系投信会社。同社が運用する「コモンズ30ファンド」では信託報酬の一部が社会起業家応援プログラムに使われる
取材・文・撮影/足立力也 写真/日本植物燃料