投資の裏ワザ――外国人投資家の動向を素早く知る技術とは?
先物(短期)⇒現物(長期)に資金がスライドする買いトレンドは本物だ。昨年の秋、日経平均株価は21年ぶりとなるバブル後最高値を更新した。この上昇を支えているのが、東証の売買代金の6割以上を占めるとされる外国人投資家だ。そんな日本の株式市場の方向性を握る外国人投資家が投資する銘柄や方向にリアルタイムで便乗できれば、利益は約束されたようなものだ。どうしたら彼らの動向をキャッチできるのか。
元株式ディーラーの坂本慎太郎氏は、最もオーソドックスな情報源として東証のウェブサイトを上げる。
「『投資部門別売買状況』というページがあり、この欄の「海外投資家」の「売り」と「買い」の金額や差し引きを見れば、彼らが売り越しているのか買い越しているか一目でわかります」
しかし、残念ながらこの方法には致命的な欠点がある。
「毎週木曜に前週の数字が公表されるので、情報が遅いのです。これだけを頼りにしていると初動を取り損ねたり、トレンドが終わった時に逃げ遅れる可能性があります」
このため坂本氏は「外国人持ち株比率が高い銘柄リスト」をつくり、日々値動きをチェックしているという。
「リスト銘柄の値動きを見れば、東証の発表を待たずに外国人の投資動向をキャッチできます。彼らが買い越しに転じる時には日経平均に先駆けてリスト銘柄が上昇し、売りに転じる時は値下がりするのです」
外国人投資家の保有率が4~5割あり(外資は除外)、売上高が時価総額より高い銘柄を会社四季報でスクリーニングするほか、外国人投資家向け日本株ファンドをマザーファンドとする「インベスコ 日本株式アドバンテージ・ファンド」などの投資信託の組み入れ銘柄も参考になるという。
《銘柄を選定》
●外国人保有率4~5割
●売上高が時価総額より高い
※日本株に投資するアクティブ系の外資ファンド(インベスコ日本株式アドバンテージファンドなど)の組み入れ銘柄から探す
坂本氏のリストには日本ペイントHD、ツムラ、キーエンス、オリックス、トプコンといった銘柄が並ぶ。これらが一斉に同じ方向に、日経平均の変動率を上回る値動きを見せると、外国人投資家が動き始めたサインだ。その中で出遅れている銘柄があればすかさず投資することで、利益をあげることもあるという。
ちなみに、売り越しや買い越しが4週連続で続くと、そのトレンドが続きやすい傾向にあると坂本氏は分析する。買い越しが4週続けば、素直に日経平均やTOPIXに連動するETFや先物を買うといった戦略も有効だ。
《買い越し傾向なら指数買いに》
●先物ETF、レバレッジETFなどに積極投資
※売り越し傾向ならポジション整理など守りに
【こころトレード研究所長 坂本慎太郎氏】
証券会社、保険会社で株や債券ディーラー、ファンドマネージャーを歴任し独立。著書に「朝9時10分までにしっかり儲ける板読み投資術」。ハンドルネームはBコミ
取材・文/森田悦子 図版/ミューズグラフィック
外国人投資家の動向を最速で判断する投資術
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