もう「ティファニー」と書いた紙を売り出せばいいじゃん
ティファニーのベビーグッズや食器が充実しているのは知っていたが、ここまで多様とは……定規からペーパーウェイト、クリップ、ペンまで、ティファニーブルーに彩られている部位を除けば、オフィス用具通販のアスクルで売られているものと同じだ。もしくは無印良品。そうだな、このラインナップの感じは、無印良品に近い。
天下のティファニーは、高級無印良品を目指しているのだろうか。それはもはや「我が社で売られていないものなどない」という状態だ。かつて、無印良品が自転車やベッド、はては家まで売り出したのと同じように、ティファニー製の一軒家が登場するかもしれない。
(ティファニーECサイトより)
無印良品でかつて売られていた貯金箱と、
ティファニーのピギーバンク(オンライン限定商品)も、デザインがどうのではなく、ラインナップが似ていると私は思う。
無印良品貯金箱
(ティファニーECサイトより)
そんなティファニー様におかれましては、やみくもに商品の幅を広げるのもいが、「純粋に」ブランド価値を高める方向へ進んでみてはどうだろうか。
「純粋○○」という概念がある。そのモノ自体に芸術的な価値があるのに、まるで実生活の役には立たないもモノのことだ。存在の無価値さが、かえって芸術性を際立たせて美しいモノのこと。
たとえば、誰も上らないところにいきなり置かれた階段などは「純粋階段」と呼ばれ、階段としての機能を純粋に示した「超芸術」とされる。
私はティファニーにもこれをやって欲しい。
「これはティファニーです」と書いた紙を、10万円、いや100万円でもいい、高値で販売して頂きたいのだ。
(
ここでは色をティファニーブルーとしたが、本来は無色が望ましい)
ティファニーであれば、きっと誰かが買う。その段階までブランド力を高めることができれば、かのブランドは「純粋ティファニー」として、その価値を不動のものとするだろう。
おねだり機能なんかより、クリスマスプレゼントに「純粋ティファニー」いかがでしょう。
<文・北条かや>
【北条かや】石川県出身。同志社大学社会学部卒業、京都大学大学院文学部研究科修士課程修了。自らのキャバクラ勤務経験をもとにした初著書『
キャバ嬢の社会学』(星海社新書)で注目される。以後、執筆活動からTOKYO MX『モーニングCROSS』などのメディア出演まで、幅広く活躍。著書は『
整形した女は幸せになっているのか』(星海社新書)、『
本当は結婚したくないのだ症候群』(青春出版社)、『
こじらせ女子の日常』(宝島社)。最新刊は『インターネットで死ぬということ』(イースト・プレス)。
公式ブログは「
コスプレで女やってますけど」