草食投資隊が全国で展開する投資セミナーはいつも盛況。セミナー開催情報はFacebook「草食投資隊」でも確認できる
私自身に子供が生まれた時、成人した将来の姿を想像しました。留学したいとか、ショップを立ち上げたいとか、成長した時にいろんなチャレンジをしたいと言い出すのではないだろうか。だとしたら応援をしたいな、と思ったのがきっかけで、子供の口座で積立投資を始め、自分自身も始めました。
当時は21世紀になったばかりでしたが、子供が成人になる20年後を考えて始めたんです。当初は長い時間のようにも思えたのですが、もうすぐその20年が経とうとしています。過ぎてみると、あっという間の時間でした。
お金は、たとえ減ったとしてもいろんなところで取り戻すチャンスがあります。しかし、過ぎた時間は取り戻せません。だから、草食系投資がいいなと思ったら、すぐに始めた方がいいでしょう。時間は1日ごとに減っていく、大切な資源です。
人生100年時代です。60歳になってもまだ20年、30年と人生の時間は続きます。少額でもいいから積み立てていれば、将来必ずよかったなと思えます。何よりも、継続することが大事です。もちろん、高値で売り抜けてもいいのですが、草食系のコンセプトはこれとは少し違います。
草食投資隊・隊長の渋澤健氏(中央)、“次男”の中野晴啓氏(左)、“末っ子”の藤野英人氏(右)
もちろん、肉食もあっていいんです。人間はもともと雑食ですよね。それと一緒で、草食系投資をやりながら、肉食系投資もすればいいんです。このふたつは両立できます。
もっとも「草食系投資」といえども、株式投資なので元本保証はありません。信託報酬をいただきます。私たちの場合は年間0.98%です。ただ、コモンズ投信が運用するコモンズ30ファンドの実績としていえば、2009年からの運用実績は、今のところ年率15%ほどになっています。
投資といえば一般的に「肉食」なイメージが先行しがちですが、コツコツ、ゆったり、争わない、ハラハラしない楽ちんな投資があっても良いのではないか。そう思って始めた草食投資隊の活動ですが、徐々に広がりを見せています。
「以前“肉食系”の投資をしていたけれど、最近口座を放置していたな」という人は、リバビリも兼ねて草食系投資を始めたらいかがでしょうか(談)。
【渋澤健】
国際関係の財団法人から米国でMBAを得て金融業界へ転身。外資系金融機関で日本国債や為替オプションのディーリング、株式デリバティブのセールズ業務に携わり、米大手ヘッジファンドの日本代表を務める。2001年に独立。2007年にコモンズ(株)を設立し、2008年にコモンズ投信会長に着任。今年12月に共著書
『人生100年時代の楽ちん投資』(日経ビジネス人文庫)を上梓の予定
<文・写真/足立力也(コスタリカ研究者。著書に
『丸腰国家~軍隊を放棄したコスタリカの平和戦略~』(扶桑社新書)など。コスタリカツアー(年1~2回)では企画から通訳、ガイドも務める)